• "議会答弁"(/)
ツイート シェア
  1. 富山県議会 2022-09-01
    令和4年9月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                      午前10時00分開議 筱岡委員長 おはようございます。  ただいまから、本日の予算特別委員会を開会いたします。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。        大門良輔委員の質疑及び答弁 2 筱岡委員長 大門委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 大門委員 おはようございます。  予算特別委員会、最終日のトップバッターを務めさせていただきます。自由民主党議員会の大門良輔です。どうかよろしくお願いいたします。それでは質問に入りたいと思います。  まずは、安心・安全に暮らせる環境の整備についてでございます。  先日、私の子供の運動会がありまして、一日中外にいたので、大変こんがりと日焼けをしました。会う人会う人、黒くなったね、焼けたねと言われるわけですけれども、上田英俊衆議院議員から、焦げたハンバーグに近づいてきたなとお褒めの言葉をいただきました。  その運動会ですけれども、このコロナが始まりまして3年目となりまして、初めて通常どおりの競技が全てできましたし、父兄を全て入れることができました。やはり子供たちの青春というのは今しかない中で、こういった当たり前のことができるというこのすばらしさを改めてかみしめた運動会になったのかなというふうにも思っております。  昨日、富山まつりもありましたし、地域を見てみますと、お祭りごと、行事ごとが少しずつ、まだ完璧ではございませんが増えてきたのかなと思っております。早くこのコロナが収まりまして、通常の生活が送れればなと思っています。  その中で、国のほうでは、コロナを2類から5類に落とす議論が少しずつ動き出しまして、一気に落とすのではなく、徐々に5類に近づけていく運用をしていく動きが見られます。  その議論の中で、政府では全数把握の簡素化を決定し、本日──今日ですね──26日から全国で運用がスタートしていきます。  しかし、今回の全数把握の簡素化は、医療機関のハーシスの一部がなくなるわけではありますが、その一方で、コロナ感染者の把握やフォローなどはどうすればいいかなど、現場からの矛盾の声を受け、本県では先行して運用していた県のことを調査しながら本日から運用に至ったと認識をしております。  そこで、全数把握の見直しを行ってきた県の事例をどのように参考にして、本県ではどのように運用していくのか、変更点も含めて新田知事にお伺いしたいと思います。 4 新田知事 おはようございます。よろしくお願いします。  おっしゃるように、全数把握の見直しにつきましては、鳥取や宮城など9県が先行して始められました。全国知事会では、それら先行県の取組の状況、またどんな課題があるかを調べて、それをほかの都道府県の参考にもするようにということで、全数把握等検証ワーキングチームというものを設置して、先行県へのアンケート調査などを実施して、我々も情報をもらっていたところです。
     本県としても、医療機関や保健所、厚生センターの負担軽減を図りながら、発生届対象外となる方々が安心して療養いただける環境を確保することは大変重要と考えております。  もともと、今の全数把握の目的は、感染の動向を調べることと療養の管理ということでしたので、簡素化したからといって、その両方がやっぱり満たされなければ駄目だと考えております。  この知事会の調査結果から、あるいは本県独自にも先行県に聞き取りなどをして、陽性者への健康フォローアップ、また宿泊療養の支援などについて検討してまいりました。保険などの課題もありました。その結果、今日から自宅療養中の症状悪化時の連絡先や療養中の注意事項などを記載した療養の案内というものを医療機関を通じて配布していただけることになりました。これで一つの問題はクリアできました。  また、症状の悪化や健康に不安がある場合に医師や看護師に相談できる24時間体制の電話相談窓口──健康フォローアップセンターと命名しておりますが、これを設置しました。これも開設することができましたので、もう一つの問題もクリアはできました。  また、届出対象外の方であっても、本人の申出があれば必要に応じて宿泊療養施設への入所支援を行うことにしております。  などなどの方策を施しまして、この簡略化に対応できると思い、今日からスタートしております。新聞にも大きな広告を出させていただきました。その他、いろんな形で県民の皆様に周知いただき、不安なくこの新しい体制に進めるように準備をしておりますが、ただ、本日スタートしたばかりですので、また新たな課題も出ようかと思います。そうなった場合には速やかに改善を図るなど、円滑に運用できるように頑張ってまいります。 5 大門委員 ありがとうございます。  本当に運用方針が変わりまして、コロナに感染した方々にはどうすればいいのか不安な方も大変多くおられるかなと思っております。  そういった中で、知事からも今お話があったとおり、新聞に大きな広告も出ておりましたし、そういった運用方針をしっかりお伝えするということは非常に大切なことかと思っておりますので、また周知のほうもお願いしたいと思っております。  また、ちょっと聞いてみますと、市町村のコロナ感染者数も今後出ないと伺っております。そういった意味でも、大きく変わる転換期なのかなと思っておりますので、またいろいろ試行錯誤する部分があろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思っております。  そして、今後、間違いなくこの第7波が収まりまして、いずれ第8波が来ると思っております。その第7波から第8波までの安定したときに、ある程度運用方針を変更し、ふだんの生活に近づけていかなければならないと感じております。私はその時期に向けてしっかりと国に対して地方の声を上げる、コロナの運用方針を見直し、5類に近づけていくなど、医療の負担軽減や普通の生活に戻るための方策など具体的に声を上げていく必要があろうかと思っています。  今回の全数把握の簡素化も、当初期待していたものと実際の運用では大きく違いもあり、完全な負担軽減には至っておらず、物足りなさを感じているのは私だけではないのかなと思っています。  そこで、今回の第7波におけるコロナの感染力や致死率、そして全数把握の簡素化などを受けまして、今後、負担軽減や運用方針など変更すべき点を具体的にどのように捉えているのか、新田知事にお伺いしたいと思います。 6 新田知事 今回の全数届の見直しですが、私どもは一定の効果はあると思います。現場では7割ないし8割の負担は軽減される、その分の時間をお医者さんは患者と向き合うように、また我々の厚生センターや保健所などは、よりやるべきほかの業務にもマンパワーを割ける、時間を割けると思っています。  これは、ウイズコロナの段階に向けた移行策の一つだと私どもも理解しておりまして、国では去る9月2日に、これまでのコロナ感染症に関する取組を踏まえて、次の感染症に備えるための具体策が示されたところであります。  この中で、今回の感染拡大で保健医療現場が逼迫したことを踏まえますと、この間に次の感染拡大に備えることは委員おっしゃるように大切なことだと思います。  まずは、新型コロナ感染症に対応する病床や外来診療を拡充しなければなりません。これは先般、この簡素化、またアラートの終結、そしてロードマップも見直しましたが、そのときに開催しました有識者会議でも御指摘をされたところでございます。より多くの医療機関で見られるようにしてほしいということ、これを進めなければなりません。ただ、そのためには、やはり財源も必要なので、財源の充実のために国への支援も求めていきたいと思います。  また、高齢者施設などの従事者への検査や施設内療養に対する支援の強化、これも、例えば抗原定性検査キットの配布など含めてしていかなければなりません。  それから、新型コロナの治療薬や医療用物資の確保、また安定供給体制の構築も必要です。そして、今、始まりましたが、オミクロン株対応ワクチンの接種の促進も必要であると考えております。  中には1県での取組にとどまらない内容もありますので、引き続き全国知事会を通して、これらの医療、福祉の体制の強化あるいは負担軽減などについて、また併せて、委員御指摘の現在2類相当の感染症法上の取扱いの見直しも含めて、平時の医療に少しずつ近づけていくためのロードマップも早急に国として示していただけるように、これも知事会を通じて要望してまいりたいと考えます。 7 大門委員 ありがとうございます。  地方によっていろいろ対応が違うと思いますが、やはりその地方の声をしっかりと国に届けるということは非常に大切なことかと思っております。  今、まさしく平常時とコロナの戦いの端境期にあろうかと思っておりますので、ぜひとも平常時に近づけるように、また声を上げていっていただけたらと思っております。  この新型コロナウイルスが蔓延して3年がたちました。コロナ1年目の経済の停滞感から比べると、観光や飲食など一部弱い部分を見せていますが、回復傾向にあると報告を受けています。  富山県の雇用調整助成金の動向を見てみますと、令和2年度が2万5,400件の申請があり277億円、令和3年度は約2万件の申請で125億円、令和4年度は7月時点でありますが6,000件程度で25億円となり、飲食、観光、ホテル業などではまだ活用があると聞いていますが、活用する企業も減ってきております。失業率も1.9と全国の数字と比べるとかなり低水準であり、富山県としての支えが順調に数字として現れている証拠であり、さすがものづくりの県だと認識しております。  しかし、昨今の海外の外的要因によります物価高において、景気の悪化など目の前の課題が山積していますが、その先の政府が掲げる所得向上というのは大きな目標であり、ハードルが高いのではないかなと感じております。やはり、目の前の急激な物価対策は重要であり、今回の補正予算でも対応していると思っております。そして、その先の所得向上に向けていくには、やはり需要と供給のバランスである需給ギャップが大切だと思っています。これはまず、厳しい経済状況の中でも、安定的な需給を生んでいかなければ、最終的に所得向上にはつながらないと感じています。  そこで、富山県における需要ギャップをどのように捉えておられるのか、そして経済刺激対策についてどのように考えているのか、新田知事に御所見をお伺いしたいと思います。 8 新田知事 ちょうど昨日も、NHKの「日曜討論」でまさにこのような議論が闘わされておりました。いかに需要を伸ばし、企業がもうけるようになり、そしてその果実を勤労者に戻すかという、そんなことだと思います。  委員御指摘の需給ギャップ、これは内閣府と日銀が推計値を公表しておりまして、直近では、今月の6日に内閣府から、2022年4-6月期、第1クォーターの需給ギャップについてマイナス3.1%と推計をしておられました。推計に必要な企業の設備量、また稼働率、労働関係のデータなどが、実は県単位では今のところ入手できないため、県ごとの算出は難しいですけれども、国全体では、新型コロナが拡大した始まりの頃、2020年の4月から6月期、ここではマイナス9.5%とギャップが大幅に広がって以降、その後はマイナス3、4%で推移していると。ですから、これも推計のまた推論ですが、本県も状況としてはおおむね同じような基調ではないかと考えております。  安定した需要を生み出すためには、将来にわたって経済的、社会的に安定した生活が期待してできる環境を整えること、また、生産性の向上により賃金引上げを促し、消費を喚起することで経済の活性化を図ることが重要だと考えております。  国に対しては、全国知事会を通じて、将来にわたって持続可能な社会保障制度の構築、これが本当に生活の経済のインフラだと考えております。そして、この長引くコロナ禍、またエネルギー原材料価格の高騰が続く中で、賃金引上げの環境整備を含めた積極的な経済対策、これも求めているところです。  その中で、本県としましては、ビヨンドコロナの補助金、県制度融資の拡充、またIoT推進コンソーシアムによる県内事業者デジタル化に向けた支援、富山県賃上げサポート補助金の新設などに取り組んできたところであります。あわせて、商工団体などによる消費喚起の取組を支援する地域内消費喚起プロジェクト支援補助金、また、とやまプレミアム食事券発行による消費の活性化を図ることが大切だと思います。  このようなことで経済の回復を持続的なものにしていく。このためには、様々なこのような施策を打つことによって、本県の成長戦略でいうウエルビーイングを上げていく。これはあした効くものではありませんが、この持続的な経済の復興、そして好循環をつくり出していくためには、この成長戦略を着実に進めていくことも大切だと考えております。 9 大門委員 ありがとうございます。  よく建設会社の社長とお話をさせていただきますけれども、やはり安定した需要がなければ、社員も雇えなければ給料も上げられないという言葉をよく耳にします。これは、いろんな業種に言えることかなと思っております。  どちらかというと、今の質問は国の話に近いところが多いのかな思っておりますが、やはり国でも需給ギャップというものが大体17兆円から20兆円あるのではないかと言われています。恐らく富山県もある程度あるのかなと思っています。だからこそ、今、知事が言われたとおり、しっかりと景気の好循環をつくっていくためにも、国に対してしっかりと富山県からも要望したいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  富山県におきまして、8月13日と20日において1時間当たり50ミリ前後の雨が降りまして、床下浸水や土砂崩れなどの被害が発生いたしました。全国を見ますと、1時間当たり100ミリを超える降雨量を記録した地点もあるなど、今後、線状降水帯がどこで発生するかも分からない状況でもあります。  そういった中で、今議会でもいろいろ御意見があったと思いますが、私からも大雨対策について質問させていただきます。  それは、県道と市道の道路側溝の接続部や道路側溝と農業用水路の接続部に脆弱さを感じる点であります。これは、先日、各市町村議員と大雨について意見交換をしたときに頂いた意見であります。県道では排水がしっかりしていますが、その排水が市道に流れ込むと水があふれてしまう箇所や、用水路において、宅地化が進む中で道路排水がこれまで以上に流れ込み、容量がオーバーしてしまうケースが見受けられるとのことであります。  私も今回の大雨の状況を見て同感する点もありましたが、そういった土木や農林水産部、県や市町村を超えた連携について対策がより必要になってくると思いますが、市井土木部長に御説明をお伺いしたいと思います。 10 市井土木部長 8月の集中豪雨により、市街地等の道路側溝や排水施設の接続部などで雨水があふれ、道路の冠水や住宅の浸水被害が発生しました。県道や市道など、管理者の異なる排水施設の結節点付近で発生したことも伺っております。  これまで、道路事業で県や市町村が道路側溝を整備する際には、雨水を適切に排水するため、沿道の状況等に応じた降雨の規模に基づき排水量を設定し、その流末が管理者の異なる道路側溝や農業用水路、雨水幹線となる場合、その管理者や排水量や接続部の構造等について協議し、接続をしております。また、県道が流末となる場合においても同様に措置いただいております。  排水施設の整備後は、その排水機能を維持するため、道路管理者においては定期的に道路パトロールを実施し、必要に応じ、道路側溝や集水桝の排水工等に堆積した落ち葉やごみの除去を行っております。また、農業用水路においては、土地改良区や地域住民が江ざらい等を行っております。  さらに、市町村では非常時における水防活動に加え、市街地等における洪水や内水のハザードマップを作成するなど、浸水被害に対する啓発にも努めております。  県では、委員御指摘のとおり、今後も排水施設の処理能力を上回る降雨による浸水被害が発生する可能性があるものと考えております。  このため、市町村、各施設管理者と共に、各排水施設がその有する機能を最大限に発揮できるよう管理に努め、浸水時の連絡体制等を確認し、個々具体の被害箇所における対応を検討するなど連携を密にし、ハード、ソフトの両面から浸水対策に取り組んでまいります。 11 大門委員 ありがとうございます。まさしく連携が今後必要になってくると思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。  今、滑川市で工事がまさしく進行中である沖田川についてお伺いをしたいと思います。  先般20日に雨が降ったときに、私はこの地元の沖田川を警戒して見ておりました。沖田川の1期工事で放水路が完成した下流部のエリアに関しましては、水位こそ上昇しましたが全然問題なく、地元からは感謝の声が多く上がっておりました。本当にありがとうございます。  しかし、まだ工事が終わっていない上流部に関しては、あと5センチぐらいで水があふれるところまで来ており、改めて河川の工事の大切さを感じさせられました。もちろん、沖田川流域は近年、宅地化や店舗などの出店が相次ぎまして様子も変わり、排水が一気に流れ込むエリアも出てきており、ゲリラ豪雨など大雨が降ると水位が一気に上昇してしまう状況にもあります。  河川の改修は、一度始めると10年、20年かかる箇所もあると認識しておりますが、やはりこの線状降水帯ゲリラ降雨に耐えられるよう、計画を一年でも前倒しし、完成させる必要があると感じております。  また、今回の沖田川2期工事が完成しても、まだその上流部に関して、この大雨を見ると、弱い部分があるのではないかなというふうな認識をしておりますが、沖田川の治水対策の認識について、市井土木部長にお伺いをしたいと思います。 12 市井土木部長 現在、県では約540メートルの沖田川放水路のうち、これまで完成した約420メートルの第1期工事期間に続いて、現在、第2期工事として残る延長120メートル区間の工事を進めており、今年度、線路横断部分放水路工事に着手いたしました。現状では放水路整備が完了しておらず、今ほど委員から状況を御紹介いただいた整備区間の上流にある沖田川の水位局では、氾濫危険水位を超過する水位が観測されております。  県では、放水路の整備により治水上のボトルネックが解消されれば、整備区間上流部分の水位低下にも寄与するものと考えており、第2期工事を着実に進めていく必要があると考えております。  その一方で、第2期工事は鉄道事業者周辺地権者との調整、また現道交通を切り替えながらの施工が必要なため、一定程度の工期を要すると考えております。  このため県では、整備区間のさらに上流2キロの区間において、流下断面を確保するための河道掘削や、流れをよくするための川底のコンクリート化などのハード対策、また、河川の水位情報やカメラ画像をインターネットで公表するなどのソフト対策を進めてきたところでございます。  県としましては、沖田川の流域における浸水被害の防止を図るため、国の5か年加速化対策の予算を活用するなど必要な予算確保に努め、沖田川第2期工事の早期完成に向け取り組んでまいります。 13 大門委員 ありがとうございます。  今、まさしく工事が線路の下の部分ですか、スタートをしまして、本当に地元からも期待の声が大きく上がっているところであります。難しい工事というのは認識をしておりますので、またお力をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。  それでは、次に魅力的なまちづくりについて御質問していきたいと思います。  まずは、空き家の活用についてお伺いをしたいと思います。  今、私が住む滑川市において、実は空き家は800件以上ありまして、年々加速する一方であります。これは富山県全体に言える課題であろうかと認識をしています。  この空き家に関しまして2種類ありまして、使える空き家と使えない空き家があろうかと思っています。使えない空き家に関しましては、危険老朽空き家であったり、解体しなければ前に進みません。また、使える空き家に関しては、エリアによっては新しいお店が出店したりと、若い人たちが昔の面影を残しながらおしゃれに活用し、人が集まってきております。  以前、成長戦略会議でも、つくられた町よりも、昔ながらの雰囲気を残した町のほうが面白い人が集まると言っておられましたし、議会ではそういった民間の動きをしっかりと行政が後押しし、人を呼び込んでいきたいという答弁もありました。  しかし、今、県が補助をしているのは商店街の空き店舗であったり、空き家を改装といっても、サテライトオフィスなど対象が県外の方など限定的であります。こういった空き家を活用し、面白いことをしようとしている人は県内にも多くいます。  今後、空き家を活用し、面白い人が集まり、人を呼び込むためにも、対象要件を県内の人にも広げるなど、市町村と連携をしながら空き家の活用を進めていく必要があると思いますが、市井土木部長にお伺いしたいと思います。 14 市井土木部長 民間による空き家の有効活用について、土木部では地方創生局や商工労働部と共に支援してまいりましたが、委員からの御指摘もありましたように、支援の対象が限定的との御意見を市町村等からいただいたことから、今年度、多様な空き家の活用ニーズに対応するため、支援制度の拡充を図ったところでございます。  具体的には、市町村への直接ないしは間接補助である空き家利活用モデル支援事業において、これまでの用途に加え、新しい住まい方、働き方に対応した用途である多拠点居住用住宅、もしくはコワーキング施設等へ行われる改修や県外移住者が居住するための住宅用途とするために行う伝統的家屋の改修を新たに補助対象とする見直しを行いました。その結果、今年度は移住者向け宿泊施設やコワーキングスペース等から成る複合施設への改修が行われる朝日町の案件をはじめ、9月までに既に市町村から7件の補助金交付申請をいただき、交付決定したところでございます。  この空き家改修への支援に加え、今年度はさらに、地域団体や民間事業者が行う空き家利活用のための検討活動費等を補助対象に追加し、空き家活用に向けた前段階の取組についても支援することとしております。  今後とも充実した支援制度となるよう、市町村、民間団体等と構成する空き家対策官民連絡協議会において、現場のニーズを伺い、他県での取組についても情報共有に努め、県内の空き家活用のモデルとなるような多様な取組に対し支援してまいります。 15 大門委員 ありがとうございます。  今、多拠点居住やサテライトオフィスなど、そういった市町村からの要望があって要件を広げたという話がありました。今年度、7件の申請があったとお聞きいたしました。この7件というのは多いのか少ないのかというと、ちょっとよく分かりませんが、やはりまだまだ私としましては、その要件というものを広げていく必要があろうかと思っております。  今、滑川市に瀬羽町という地域がありまして、本当にそこは空き家しかなく、猫しか歩いていなかった地域なんですけれども、ある面白いお店ができまして、どんどんどんどん人が集まっていきまして、今ではそこはもう空き家がないぐらい新たな店舗が出てきている状況にもあります。そういったところに、やはり面白い人といいますか、いろんな人が魅力を感じて集まってきますし、そういったところに県外から来てみたいなという人も、今、実は出てきております。  そういった状況もありますので、やはり空き家は今後ますます間違いなく増えると思いますし、県としてもその対策は必要と感じておりますが、そういった県内の方々が使いやすい要件であったり、市町村は財源が足りないというのがやはり一番の課題かなと思っております。県と市が協力し合って、そういった空き家対策にももう少し力を入れていただくとありがたいなと思っておりますので、また検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。  それでは続きまして、富山湾岸サイクリングコースについてお伺いしたいと思います。  富山湾岸サイクリングコースがナショナルサイクルルートに認定されまして、今後より一層、サイクリングは富山県のストロングポイントになろうかと感じています。  今、朝日町から氷見市までブルーラインが引かれ、サイクリングを楽しむ人が年々増えてきています。その沿線におきまして、各道の駅や観光施設においてサイクルラックを設置されるところは増えてきていますが、まだサイクリングに特化した施設ではなく、まだまだ発展段階なのかなと感じています。  ほかのサイクルルートを見ると、例えばしまなみ海道でありますが、サイクリングに特化した複合施設のONOMICHI U2が整備されまして、ホテルやレンタルサイクル、食事、物販などがあるなど、ここを拠点として周辺に及ぼす波及効果も大きくあるのかなと見ています。  そこで、富山県においても、じわりじわりとこのサイクリングの拠点を整備していくのではなく、まずはサイクリングの重要拠点、こういったものを呉西、呉東に1か所ずつ選定をしまして、各市町村が一緒になって一気に投資をする。またはPark-PFI、最近よく聞くわけなんですけれども、そういったものを想定しながら、富山県のサイクリングのトップランナーとなるような箇所を一気に整備しまして、富山県全体のサイクリングの押し上げであったり、全国の情報発信や誘客に努めてはと考えますが、南里地方創生局長にお伺いしたいと思います。 16 南里地方創生局長 委員御指摘の様々なアイデアを活用して、富山湾岸サイクリングコースにサイクリングに特化した拠点、これが整備されれば、富山湾の美しい景観、沿線の観光スポットに加えて、国内外のサイクリストを呼び込む目玉施設となり得ると感じました。  一方で、施設整備となれば、候補地や整備主体、建設費や運営費など、整理すべき課題も多いかなということは承知しております。  県ではこれまで、県内外の観光客が多く訪れ、飲食や休憩スペースのある道の駅等の観光拠点施設において、市町村とも連携して、御紹介のあったバイクラックの設置ですとか空気入れ、修理工具の貸出し、トイレの使用、レンタサイクルなどのサービスが受けられるサイクルステーションとして整備してまいりました。  今年4月には、黒部市内の道の駅「KOKOくろべ」のオープンに合わせて、当該施設を県内で10か所目となるサイクルステーションとするなど、サイクリストの利便性の向上に努めているところでございます。  また、今年度は浜黒崎のキャンプ場におきまして、県の新たな時代に対応した観光地域づくり支援事業費補助金、これを活用しましてレンタサイクル事業を実施するような予定もございまして、今後ともサイクリング関係団体、民間事業者の意見を伺いながら、また、御紹介いただいたような他県のサイクリングコースの先進事例の調査など、情報収集を進めてまいりたいと思います。 17 大門委員 ありがとうございます。  このサイクリングですけれども、いろいろ聞いてみますと、他県でこのナショナルサイクルルートを、次に選定しようという動きがあると聞いています。富山県が2番目の速さでこのナショナルサイクルルートに選定された、やっぱり先行してやってきたというストロングポイントをしっかりと生かしていかなければならないと思っています。  その選考した委員の方からちょっと漏れ聞こえている言葉が、ちょっと耳の痛い話なんですけれども、富山県がこのナショナルサイクルルートに選定をされて、あまり、何といいますか、投資がされていないと、動きがちょっと弱いなというふうに言われておりまして、同じ時期にナショナルサイクルルートに選ばれたほかの地区よりもちょっと後を行っているということも実は漏れ聞こえてきております。  今後、ナショナルサイクルルートは間違いなく富山県のストロングポイントになると思っておりますし、本当にすばらしいコースだと思っております。だからこそ、しっかりと整備するものはして進めていかなければ、次のナショナルサイクルルートに整備をされた地区が一気に認定されて置いていかれるような状況になるかなと思っておりますので、やっぱりそういった重要拠点であったり、民間との取組だったり、いろいろあろうかと思っておりますが、またしっかりと進めていただきたいと思います。  またこれは委員会のほうで詳しく聞きたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございます。  続きまして、空港の民間活力導入についてお伺いをしていきたいと思います。  これまで私自身が、民間活力導入をした南紀白浜空港や静岡空港を視察し、感じたことも含めて質問していきたいと思います。  委員長、資料の配付をお願いしたいと思います。 18 筱岡委員長 許可いたします。 19 大門委員 お配りする資料は、令和元年度の全国の空港の利用者数を表した数字となっております。ちなみに、左が国内線と国際線の総数でありまして、真ん中が国内線、右側が国際線となっております。色で塗られた空港が、現在、民間活力を導入した空港であり、青色が国が管理している空港、黄色が地方が管理をしている空港になります。ちなみに、富山県は赤色になっております。  富山空港の利用者数は、大体コロナ前で年間54万人であり、富山空港より乗降者数が多い空港や少ない空港でも、運用方式が違いますが、民間活力の導入が進められ、利便性向上に向けて取り組んでいるところが分かります。  ちなみに、視察に行った静岡空港と南紀白浜空港はコンセッション方式の混合型を採用し、民間と行政が力を合わせて進めておりました。  どこの空港も、乗降者数や空港の可能性も含めて、コンセッション方式の独立型や混合型、指定管理など、手法を選定していったものと考えます。  本県では3回の検討会を重ねられ、民間活力を導入した場合、運営方式をコンセッション方式の混合型という方向性が示されたわけですが、いろんな運営方式がある中でコンセッション方式の混合型を選定した理由について、田中交通政策局長にお伺いしたいと思います。 20 田中交通政策局長 空港コンセッションの目的は大きく2つありまして、1つは、航空需要等の拡大による空港地域の活性化であります。2つ目は、航空事業と非航空事業の一体的経営、また民間ノウハウの活用等による空港経営の効率化、利便性の向上であります。
     昨年度実施しました空港運営のあり方調査において、富山空港は、今後の利用促進やにぎわい創出、需要創出に向けて、新たな民間事業者との連携を視野に入れる必要があり、特にコンセッションの活用による空港の課題解決の可能性が高いと評価されました。また、導入するのであれば、利用者数を踏まえると混合型コンセッションが前提とされております。  利用料金収入のみでは運営が困難な場合などに、公的部門が一部を負担する混合型については、委員からも御紹介ありましたが、既にコンセッションを導入している地方管理空港の多くで採用されております。  こうした状況を踏まえまして、今年度、富山空港における混合型コンセッションの導入に関する具体的な手法について調査を実施しているところであります。 21 大門委員 ありがとうございます。今後、民間活力の導入に向けた可能性調査をしていくわけですが、大切な視点があるかと思いましたので、質問していきたいと思います。  民間活力を導入した静岡空港や白浜空港でも言っておりましたが、今までになかった顧客需要の掘り起こしが重要になってまいります。サービスを向上させ利用者増を目指しますが、これまでターゲットとしていたエリアだけでなく、裾野を広げて広域で集客をしていかなければなりません。  ちなみに、静岡空港では、これまでターゲットとしていた県内の顧客だけでなく、神奈川県や山梨県の一部までターゲットを広げて事業を展開しています。そのためにも、新たな公共交通の2次交通網の整備を進め、利用者数を現在の数字よりも2倍を目標に動いております。  恐らく、富山県で言ったら高山であったり、それ以外にもターゲットの選定が必要になろうかと思います。そのためにも、民営化したとはいえ、行政との連携は欠かせないと感じています。ターゲットを広域に広げることにより、公共交通の充実やプロモーションが大切であろうかと感じていますが、さらなる顧客需要獲得に向け、どのように捉えておられるのか、また今後の調査にどのように反映させていくのか、田中交通政策局長にお伺いしたいと思います。 22 田中交通政策局長 委員御指摘のとおり、富山空港の新たな利用者の掘り起こしには、県内だけでなく利用圏を拡大していくことも大変重要であります。  このため県では、今年3月に全日空と締結いたしました包括連携協定に基づき、全日空富山支店と合同で、飛騨高山地域や上越、糸魚川地域の市役所、商工会議所等に対し、富山空港発着の航空路線のPRを行いますとともに、富山空港を利用した誘客、送客等に関して意見交換を行いました。高山地域の方からは、高山からのアクセスは駐車場を探す手間もなく、セントレアより富山空港のほうが断然いい、また、富山と名古屋では、高山からの心理的な距離感が全然違い、富山のほうが圧倒的に近いと。また、糸魚川地域の方からは、市民にとって身近な空港は富山空港だと、こういう御意見がありましたが、一方では、市民に対しもっときめ細かなPRを行ったほうがよい、このような御意見もいただいております。  現在、混合型コンセッションの導入可能性調査を実施しているところでありますが、こうした近隣地域の御意見を踏まえますとともに、御紹介ありましたが、静岡空港の空港アクセスの向上など、既にコンセッションを導入している空港の効果的な取組事例も参考に、利用者確保について調査に反映してまいります。 23 大門委員 ありがとうございます。  次に、非旅行者の利用者増に向けての取組についてお伺いをします。  静岡空港では、将来的には富士山と飛行機が見えるグランピング施設の整備やユニークなイベントなどを開催して、飛行機を利用しない方々の需要の掘り起こしなどを目指す取組など、民間の発想らしい計画を進めておりました。やはり、非旅行者の利用は新たな収入源にもつながりますし、空港周辺の活性化にもつながると感じています。  そこで、富山空港を見ると、先ほどありましたが、広い駐車場であったり、隣には体育館やスポーツ施設が充実し、また開発可能な土地も多くあろうかと感じています。  そこで、富山空港のポテンシャルをどのように感じておられるのか、また、この非旅行者の需要の取り込みについてどのように感じておられるのかお伺いをしたいと思います。 24 田中交通政策局長 県ではこれまでも、空の日を記念しまして、施設見学バスツアーなどのイベントを開催してきておりますが、今年6月ですが、カターレ富山との包括連携協定締結に先立ちまして、空港内において、敵地で行われましたテゲバジャーロ宮崎戦のパブリックビューイングを開催いたしました。  旅客ターミナルビル内に集まったサポーター、約150人の方がおいでになったのですけど、この試合はカターレ富山が勝ちまして、試合の勝利に沸いたことはもとより、空港にはあまり来ないが展望デッキがとてもよかった、また利用したいということで、施設に関するコメントも伺っております。  このため、来月10月から11月にかけまして、サンドボックス予算を活用し、カターレ富山に加え富山グラウジーズとも連携し、パブリックビューイングやトークショーを試行的に行い、参加サポーターの方々から空港のにぎわい創出について御意見を伺いたいと考えております。  また、委員からポテンシャルのお話もありましたが、富山空港は中心市街地に近く、広い駐車場、大部分が無料ということもあります。また、周辺には県総合体育センターや県総合運動公園などの施設がありますほか、空港施設内や施設周辺には活用可能なスペースがあるということで、新たな需要確保のポテンシャルがあると考えております。 25 大門委員 ありがとうございます。  今まさしく空港の在り方ということで、カターレといろいろ連携をしながら、イベントであったり、今まで利用していなかった方々へのアプローチというものをしているのかなと思います。  恐らくそういった民間活力が導入されれば、さらに増えるのではないのかなというふうに思っておりますし、やはりこの空港の活性化には、周辺の整備も含めてどうしていけばいいのかということも大切な視点なのかなというふうに思います。  そういったことを踏まえて、今後、導入可能性調査をしていくのかなというふうに思っておりますので、この民間活力というものに向けて進めていっていただけたらなと思っております。  今、このコロナで、国際便が飛んでいない中で、空港の需要は本当に厳しいものがあろうかと思っております。空港の需要予測によりますと、2024年には国内線、そして2026年には国際線の需要が回復する見込みという調査結果が出ておりました。今はこの需要回復に向けて、どちらかというと耐え忍ぶ時期ではありますが、しっかりと空港の民間活力の導入に向けて着実に歩を進めるべきだと思いますが、新田知事の意気込みをお願いいたします。 26 新田知事 空港のコンセッションというのは、今、交通政策局長からも詳しく言いましたが、滑走路などの基本的な設備、それと空港ターミナルビルなどの付随する設備、これらを一体的に、かつ民間の効率性、また民間のホスピタリティーなどを活用することによって、この空港と一連の施設が地域の活性化やあるいは空港利用者の利便性の向上につながることを目指しているわけであります。  私が県民の皆様とお約束した八十八の具体策の一つでもありまして、民間資金を活用した富山空港の機能の向上、サービスの拡充を掲げています。これを進めるために、今、田中さんからも説明しました混合型のコンセッションの導入可能性調査を実施しているところです。  ただ、足元は、今、委員御指摘のように、航空需要も決してコロナ前にまだまだ追いついていませんが、やはり今後のことを考えるコンセッションですから、将来の需要回復を見据えたものでやっていただくように今お願いをしているところです。  また、空港の立地場所の持つ潜在力、また滑走路などの運行基本施設、空港ターミナルビル、駐車場の潜在力など、これはもう最大限生かしたものに提案をしてほしいと考えております。  現時点において、国際線は全便運休となっています。国においては、入国者数の上限の引き上げ、また入国制限の見直しなどが実施されましたので、今後さらに水際対策が緩和されていくものと理解しておりまして、それが航空需要の拡大につながるというふうに認識をしております。  先日、アメリカに行ってまいりましたが、アメリカではもうほとんど航空のネットワークはコロナ前の通常ベースに戻ったと言っておりました。日本でも一日も早くそのような状況になってほしいと願っております。  富山空港は、羽田、新千歳への国内定期便、また海外との定期便もありますし、またチャーター需要もあります。空港の魅力が一層高まるように、民間活力の導入に向けて取組を進めてまいります。強い強い気持ちを示しました。 27 大門委員 ありがとうございます。  本当に今、厳しい状況ではありますが、入国制限の見直しも政府のほうで話があったとおり、少しずつ国際線も回復していくのかなと思っております。その見込みも含めまして、しっかりと知事の掲げる民営化に向けて進めていっていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。  続きまして、教育振興についてお伺いします。  今回の議会の中でも、高校の学級削減が大きな議論の一つであったのかなと感じています。今議会でも県外からの入学を受け入れてはというような議論がありましたが、私から普通科の進学希望の子供たちの学区を越えた進学についてお伺いしたいと思います。  富山県は今、富山地区、新川地区、高岡地区、砺波地区の4つの学区に分かれています。その中で、職業科は別ですが、普通科において、自分が住んでいる学区と違う学区に行こうと思った場合、自分の隣の学区の高校は行けますが、1つ飛んで隣の隣の学区には行けない状況にあります。新川地区で言えば、富山地区には行けますが、高岡地区、砺波地区には行けない状況であります。ほかの地区はどうかといいますと、富山地区の子供たちは新川地区と高岡地区の学校に進学ができ、高岡地区の子供たちは富山地区、砺波地区が行けます。砺波地区の子供たちは高岡地区にしか行けない状況にあります。  今言って分かるように、住んでいる学区によって選択の幅が違っております。今後、ますます子供たちが減り、学級の再編や高校の再編が進む中で、子供たちの学びたいニーズも多様化し、魅力ある学校づくりが必要になると言っているにもかかわらず、住んでいる地域によって選択肢の幅が狭められるのは違和感を感じます。  まずは、県立高校の普通科における学区を1つ飛び越えて進学できない理由を荻布教育長にお伺いしたいと思います。 28 荻布教育長 現在、本県では、県立高校については、御紹介ありましたとおり、新川、富山、高岡、砺波の4つの学区を設けております。その上で、各学校の通学を可能とする区域──通学区域と言っておりますが、これについては、県教育委員会の定めた規則によって、職業科など普通科以外の学科は全学区で、普通科は居住する学区とその隣接学区としております。  ただし、普通科の音楽と体育のコースについては、申請により全学区からの志願を認め、進学が可となっているという状況でございます。  普通科の通学区域の見直しについては、これまでも議論もなされてきておりますが、平成19年の県立学校教育振興計画基本計画や、平成28年の県立学校整備のあり方等に関する報告書においては高校の配置バランスが配慮され、生徒の通学実態に即したものとなっていること、また、通学区域による学校選択の制約は極めて少ない状況にあることなどを理由に、現行制度を存続することが望ましいとされてきております。  通学区域は、教育環境を整備し、教育の機会均等を確保するという観点から、居住地により各学校が生徒を受け入れる一定の地理的範囲を示したものでありますが、一方で、生徒、保護者の学校選択に制限を加えている、そういう側面も持つと考えております。  このため、通学区域については、教育環境や社会情勢の変化を踏まえて、生徒保護者の希望との間に整合が取れているかどうかといったことについて、一定の期間ごとに検証をすることが必要だと考えております。 29 大門委員 ありがとうございます。  普通科は同じ教育をしているように見えますが、子供たちにとっては、やはり学力以外でも魅力的な学校で学びたいニーズは一定以上私はあるかと思っております。  学力以外でも、部活動も子供たちの学校選択に重要になってくる項目の一つだと私は思っています。  新川地区の子供でも、呉西に強豪校があり、普通科に進学したいところですが、普通科には進学できず泣く泣く職業科に行った子供たちも何人も知っているわけであります。特に、今後は、子供たちが減少している中で、部活動が選別される可能性も私はあろうかと思っております。だからこそ、子供たちが行きたい学校がその地区によって制限されるというのは、やはり違和感を感じてなりません。  そういった意味でも、やはり子供たちが自分の学びたい場所、そういった選択肢を広げることは、間違いなくその子供たちのウエルビーイングにつながるのではないかなと考えておりますが、校区を2つ越えた普通科の進学について、この令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会で検討してほしいなと考えますが、御所見をお願いします。 30 荻布教育長 この通学区域でございますが、全国的な状況を見ますと、学区を設けている都道府県は24となっており、県内全域を1学区としている都道府県は23ということで、ほぼ半々になっているという状況です。  また、本県の県立高校の通学区域については、普通科以外の学科は全学区で通学可能でございますが、実際に隣接学区を越えて通学しているという生徒数は、近年おおよそ15名程度という状況でございます。  生徒やその保護者のニーズは多様化しており、仮に県内全域を1学区としました場合は、委員おっしゃるように、部活動などの魅力で学校の選択が広がりますし、生徒たちのウエルビーイング向上につながる可能性があると考えております。  一方で、これまでも市町村域を越えて高校を選択している中学生が多いわけですけども、志願の状況によっては、どの地域においても流出入がさらに大きくなって、特定の学区や学校に志願者が集中するなど、地域バランスが崩れるといったような地域振興の観点から課題が生じる可能性も考えられるかと思っております。  こうした点について、今ほど委員からもございましたように、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会などの会議において有識者の皆さんからも御意見を伺いながら、学区の在り方、メリット、デメリットなどについても検討をして、丁寧に議論を進めていきたいと考えております。 31 大門委員 ありがとうございます。  今、お話があったとおり、メリットとデメリットがあろうかと感じております。しかし、やはり子供たちがどこで学ぶかによって、子供たちの今後というのは大きく変わってくるかなと思っておりますので、ウエルビーイングというのは、一人一人の幸せと考えた場合、15人でも、やっぱりやっていくべきなのかなと考えます。  そういった意味でも、また検討委員会で検討していただけたらありがたいのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  小中学校の給食における県産食材の使用率向上についてお伺いをしたいなと思います。  学校給食は、バランスの取れた食事が毎日提供され、子供たちが健やかな成長を図るために欠かせないものであります。しかし、おいしい給食を提供していますが、県産食材の使用率は25%程度と言われ、あまり高い状況にはありません。  農業者に伺うと、学校給食に提供する野菜の価格が安いことや、やはりふぞろいの野菜は納品が難しいなど課題があると聞いています。  しかし、子供たちの成長のために野菜を提供することができれば、仕事もこれまで以上にやりがいが出ますし、納品できるのであれば納品したいというふうにも聞いております。  また、食に対する健康志向が高まっておりまして、最近では安心・安全な県産食材での給食の提供は、子供たちや親御さんにとっても本当に大切なことだなと感じています。  給食は食育の根本を担っておりまして、来年、食育推進全国大会を開く本県としましても、県産食材の使用率向上は力を入れて取り組むべき課題なのかなというふうにも感じています。  そこで、県産食材を使用しにくい理由の調査から始め、県産食材の使用率向上に向けて、対策の強化に取り組んではと思いますが、堀口農林水産部長に御所見をお伺いします。 32 堀口農林水産部長 学校給食における県産食材の活用は、児童生徒が地域の新鮮な食材や食文化、農業に対する興味や関心を持つきっかけとなりますほか、地産地消や食育の観点からも大変重要であると考えております。  県では、とやま地産地消推進戦略におきまして、県産の野菜や果物等の活用率目標を掲げて推進しており、10年前の平成23年度で17.1%であったものが令和3年度には24.9%となっております。しかしながら、県産野菜等は、出荷時期が限られ年間を通じた供給が難しいこと、県内他市町村産の生産流通情報の共有が十分でないといったような課題がございます。  また、学校給食では、限られた時間内で大量の食材を扱い、一定の規格が求められるため、大ロットでの確保が容易な県外産のほうが使いやすいなどといった声も市町村からは伺っております。  このため県では、滑川市の先進的な取組なども参考に、令和元年度から昨年度まで6つのモデル市町村を選定いたしまして、青果市場をコーディネーターとして、旬の県産食材の情報提供や栄養教諭等の産地視察など、県産食材活用に向けた産地と学校給食側のマッチングを行ってきております。 33 筱岡委員長 簡潔にお願いします。 34 堀口農林水産部長 そのほか、雪たまねぎや新川大根等の市町村の枠を越えた使用拡大、あるいは規格外のニンジンを積極的に活用されるといった事例も出てきており、今年度は全市町村に取組を広げていきたいと考えております。  来年の食育推進全国大会では、こうした取組のほか、各市町村で実施されております「学校給食とやまの日」をはじめ、ホタルイカや紅ズワイガニを丸ごと1匹提供する給食など、地域の特色ある取組をアピールしたいと考えております。  大会を契機にいたしまして、市町村等とさらに連携し、県産食材の一層の使用拡大に努めてまいります。 35 筱岡委員長 大門委員の質疑は以上で終了しました。                      午前11時01分開議        杉本正委員の質疑及び答弁 36 筱岡委員長 杉本委員。あなたの持ち時間は60分であります。 37 杉本委員 おはようございます。朝晩めっきり涼しくなり、コンビニで肉まんが売れる季節になりました。  大相撲の秋場所、昨日が千秋楽でありましたが、鉄人玉鷲が37歳10か月で優勝しました。最年長優勝と報じられていますが、あるマスコミでは、郷土出身の横綱太刀山関が38歳9か月で優勝したと報じられていました。その太刀山関と同じ富山市呉羽出身の朝乃山は、昨日勝って6勝目をあげました。来場所、九州場所では、幕下5枚目前後の番付になることが予想されています。よい成績を残し、来年初場所では十両で相撲を取ってほしいと思います。そして、近いうちに大関に復帰して、そして横綱になって大相撲を盛り上げてほしいと思います。テレビで解説の元横綱の北の富士さんもそのようなことを言っておられました。また、多くの富山県民、そして多くの国民もそう願っております。朝乃山関から昨日の夕方、私にメールが入りました。披露いたします。「おかげさまで勝ちました。今場所応援のほど、ありがとうございました。来場所に向けて稽古に精進し、必ず上がります。ありがとうございました」。頑張れ、朝乃山。質問に入ります。  最初に、石川県との連携と競争について4点質問いたします。  新田さんが富山県知事になられてから、石川県知事との懇談の機会が増えてきており、両県の連携がさらに強化されることを期待しています。来年の先進国首脳会議──G7サミットに伴う教育大臣会合の開催地が、富山県富山市、石川県金沢市に決まりました。先ほども資料を頂きましたが、お互いに協力して成功させたいものであります。石川県輪島市にルーツがある新田知事と、富山県小矢部市出身の馳知事がタッグを組んで、両県の発展のための取組を進めていただきたい。  石川県との連携について、今後、具体的にどのような取組を進めていかれるのか、新田知事のお考えをお伺いいたします。 38 新田知事 朝乃山関へのエール、私も全く同感であります。ぜひとも関取になった朝乃山関を、またテーマにした杉本委員の相撲甚句を拝見するのを楽しみしております。  御指摘のように、石川県との連携を深めております。頑張っていくつもりであります。谷本前知事とは懇談会を2度開催いたしました。その中で、北陸新幹線の整備促進、また県際道路などの整備促進、また相互のアンテナショップを東京に持っておりますが、それを活用して共に魅力を発信していこうじゃないかということ、またさらに福井も加えて、北陸3県連携による誘客促進、また来るべきデスティネーションキャンペーン、これらを一体感を持ってやろうというようなこと。また原子力防災のこともあります。これらの取組を進めてまいりました。  そして、本年3月、馳さんが石川県知事に就任されて、より年も近いことや前から知っていることもあり、連携をさらに深めるチャンスだと思っています。6月には中部圏知事会議がありました。また、7月には初めて北陸三県知事懇談会を行いましたし、全国知事会でも御一緒しております。また、民間主催のいろんな場でも結構一緒になることがありまして、そんな場合、大体隣同士に座るので、その場でもいろいろとコミュニケーションを取ることができております。  そんな中で、令和6年春の北陸新幹線の敦賀開業を見据えた観光分野での連携のさらなる強化、それから北陸三県知事懇談会で決定しましたことなどの進捗管理を行う実務者レベルの研究会を設置すること、また静岡県を加えまして、立山、白山、富士山の日本三霊山をテーマとする新たな枠組みでの広域連携の推進などについても合意をしたところであります。  さらに、委員御指摘の来年5月のG7広島サミットに伴う教育大臣会合、これが富山県と石川県の共同開催ということになりましたので、相乗効果を上げるように連携を進めていきたいと考えております。  まず、馳さんはタッグを組むと言いますし、私はスクラムを組むと言っておりますが、いずれにしろ連携をして、次の知事懇談会は本県で開催する予定であります。  このようなトップ会談も大切ですが、また事務方レベルでもより議論を深めて、トップ同士、また県同士の意思疎通を図って連携を加速することで両県のウィン・ウィンの関係につなげていく、さらに私の提唱する北陸の十字路構想の実現につなげていきたいと考えております。 39 杉本委員 よろしくお願いしたいと思います。  質問の第2点。  越中おわら節の「越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ」という歌詞は、立山、白山、富士山の三霊山の存在を全国へアピールする上で重要であり、観光連携でも大きな効果が期待できると思いますが、全国的には、残念ですが、あまり知られていません。肝心の富士山のある静岡県、そして白山のある石川県でもあまり知られていません。  石川と観光分野での連携を進めるに当たり、越中おわら節の歌詞を生かしたPRを積極的に取り組むべきであると考えます。例えば、白山の登山口や頂上などでこのおわら節を流すなどの工夫も考えられますが、南里地方創生局長の所見をお伺いいたします。 40 南里地方創生局長 石川県との観光分野での連携につきましては、昨年10月の石川県との知事懇談会での合意に基づきまして、広域観光の推進やアンテナショップを活用した首都圏での魅力発信など、相互に連携して取り組んでいるところでございます。  また、令和4年度の大手旅行社の全国的なキャンペーンの共同誘致ですとか、昨日まで東京で開催していた観光イベント、ツーリズムEXPOジャパンに統一感のあるブース装飾で出展して、合同でのステージイベントやスタンプラリーを通じて、北陸の魅力をPRしてきたところでございます。  また、首都圏のアンテナショップにおいて、昨年、パンフレットの相互配架や、お酒やおつまみの相互販売を実施しまして、非常に好評でしたし、今年7月には伝統工芸品の相互展示、販売やワークショップを開催して両県の魅力も発信したところでございます。  御紹介いただきました越中おわら節の歌詞、これも縁となりまして、7月に本県と石川県に静岡県を加えた3県の知事で、三霊山を生かした地域振興に連携して取り組むということで合意したところでございます。  今ほど御提案いただきました越中おわら節の歌詞を生かしたPR、非常に面白いなと感じておりまして、例えば、今後発行予定の広域観光ガイドブックの中でこの歌詞を取り上げて、立山、白山、富士山の日本三霊山の由来を紹介したり、三霊山をテーマとした文化観光ということで活用するなどの取組を考えていけるかなと感じております。  観光をはじめ、学術、文化、スポーツなど、幅広い分野での連携が今後想定されるところでございますが、具体的な連携内容はまた今後3県で検討し、効果的なPRを実施してまいります。
    41 杉本委員 ありがとうございます。  おわら節の場合、おわら風の盆が終わった後、列車にお客さんが乗って帰られるときに、踊りを踊って、そして駅で歌が流れているのですよ。だから、私が今言いましたように、白山の登山口や頂上で、そのおわら節の「越中で立山 加賀は白山 駿河は富士山 三国一だよ」という歌を流せばどうかと思う。お金はそんなにかからないと思います。またちょっと検討していただきたいと思います。  それで、おわら節には非常によい歌詞がたくさんあります。余談でありますが、私が一番好きなおわら節の歌詞は「浮いたかひょうたん 軽そうに流れる 行く先ゃ知らねど なりたやその身に」であります。これは人の自由な生き方を表しています。英語で言うと「Let it be」。スペイン語かポルトガル語か忘れましたが、ケセラセラ、なるようになるわ。これも皆同じ意味です。通じるものがあります。これは余談です。  質問に入ります。  質問の第3点。石川県は富山県との連携のよきパートナーである一方、隣県としてはよきライバルでもあります。富山県はかつて石川県より人口が多かったにもかかわらず、現在逆転されている現状をしっかりと把握すべきであります。  富山県と石川県の人口について、これまでの推移と現状の差はどうなっているのか、岡本経営管理部長にお伺いします。 42 岡本経営管理部長 富山県と石川県の人口の推移につきましては、昭和40年代までは本県の人口が多く、石川県の人口伸び率が本県を上回り、昭和45年頃から差が縮まり始め、昭和51年には人口が逆転しているところでございます。その後、平成に入り、両県とも増加率が逓減し、本県は平成10年1月の112万7,000人をピークに、また石川も同年をピークとして減少に転じているところでございます。  なお、令和4年8月の人口は、本県が101万人、石川県が111万人と、石川のほうが約10万人多くなっているところでございます。  また、国勢調査など人口に関する各種統計を見ますと、社会増減につきまして確認できる昭和29年から57年頃の約30年間は、全国的に大都市圏への人口移動の傾向がございまして、本県でも県外流出が進み、石川に比べまして大きく人口が減少しているところであり、その後も減少幅は縮小しているものの減少傾向が続いていること、また、確認できる平成26年以降の15歳から34歳の若年層の社会動態を見ますと、石川は大学進学による転入や就職時の転出が多い傾向がございますが、石川は本県に比べて社会動態に占める転入割合が高く、減少は数では本県のほうが多くなっていること。  年齢構成につきまして、昭和45年国勢調査で、15歳から34歳の若年層の割合が石川が本県を逆転し高くなった一方、昭和50年調査では、65歳以上の高齢者層の割合が本県が石川を上回り増加しており、こうした人口構成の影響により、自然動態では死亡者数が昨年まで石川県を上回り、本県の人口減につながっていることなどが統計上読み取れるところでございます。  本県と石川県の人口の差の主な要因は、こうした若年層と高齢者層の人口構成の違いに伴う自然減や、全体としての社会減などによるものと推測しております。 43 杉本委員 ありがとうございます。このことについて、後で一言述べます。  質問の第4点。  委員長、資料配付の許可お願いします。 44 筱岡委員長 許可します。 45 杉本委員 質問の第4点、時代に応じた大学の学部の見直しについてであります。  今、岡本部長がお話しされましたが、石川県の人口が富山県より増えた要因の一つとして、石川県のほうが大学が多く、若者が定着したことが考えられます。  ちょっと資料を見てください。富山県の大学、大学院の数は、国立大学1校、公立大学1校、私立大学3校、合計5校であります。これに対し石川県の大学、大学院の数は、国立大学2校、公立大学4校、私立大学8校、合計14校であります。子供の数自体が減少しており、新たな大学を設置するのはなかなか困難なことだと思いますが、学部の見直し、追加により、大学の魅力向上、若者の定着を図るべきだと思います。  県立大学にデータサイエンスに関する新たな学部を設置する方針になったことは大いに評価できます。本県の大学においては、若い人たちに興味を持ってもらえるよう、常に時代に応じた学部の見直しに取り組んでいくべきだと考えます。経営管理部長の所見をお伺いいたします。 46 岡本経営管理部長 委員御指摘のとおり、人口減少対策、地方創生の観点、産業界のニーズ、就職などの出口戦略を踏まえました若い方々の県内定着に向けた魅力ある大学をつくっていくということは非常に大切だと考えております。  県内の大学では、これまでも、若者の興味や関心を踏まえました魅力ある大学づくりに向けまして、時代に応じました学部・学科の見直しに取り組んでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、平成30年には富山国際大学が英語国際キャリア専攻、令和2年には富山福祉短期大学が国際観光学科を新設したほか、今年4月には富山大学が教員養成に特化した教育学部を改組、設置しております。また、県立大学におきましては、今年4月にDX教育研究センターを開設し、来年4月には看護系大学院と保健師、助産師を養成する専攻科を設置するほか、データサイエンスに関する新学部の令和6年度の開設を目指して準備を進めているところでございます。  加えまして、大学コンソーシアム富山におきまして、特色ある授業科目を提供する単位互換の実施や、研究者や学生が地域課題の解決策を提案する取組、合同での県内企業訪問の実施のほか、各大学が連携いたしまして、進学パンフレットを作成し、県内高校1年生や中学2年生等に配付するなど、県内の7つの大学が一体となって魅力向上やPRに取り組んでいるところでございます。  さきに開催しました官民協働事業レビューにおきましても、県内の大学はさらなる魅力向上を図る必要があり、そのためには、地域や企業との連携を強化すべきとの意見をいただいたところでございます。  県としましては、こうした意見も参考にしつつ、委員から御提案をいただいた学部の見直しを含め、各大学の若者から選んでもらえる大学づくりに向けた取組を積極的に支援することにより、若者の県内定着につなげてまいりたいと考えております。 47 杉本委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  もともと、福井県、石川県、富山県、新潟県の北陸地方は、西のほうから越前、越中、越後と呼ばれておりました。加賀とか能登というのは後から出てきたものであります。昔は石川県は越前の国と越中の国の一部であったんです。それがその後、佐々成政が豊田秀吉、前田利家との戦いに敗れてから、富山県は加賀百万石の支配地になり、金沢石川県の人から分家の越中さん、越中さんと呼ばれ、だらにされるようになりました。東京から来られた人、だらは分かる?  それでも、越中売薬の皆さんが全国に散らばり、こつこつとお金をため、その資金を基に北陸銀行の前身が設立され、北陸電力がこの富山に設立されました。北陸電力の本社が富山にあるおかげで、その北陸電力との取引を期待して、三井物産の北陸支社や三菱商事北陸支店、東芝、日立製作所、IHI──旧の石川島播磨重工業、神戸製鋼所、富士電機などの重工業、電気関係の企業の北陸支社や北陸支店が石川県金沢市ではなくて、この富山県富山市に集まり、そのことによって富山県の工業力が石川県を上回り、人口も富山県が石川県をかつては上回っていたのです。  しかしそれは、今ほど述べましたように、若者を引きつける大学の数の差、大学力の差で、富山県はますます石川県に引き離されているのが実態だと思います。若者に魅力のある大学の学部の見直しを進めるべきだと思います。  また、そのほかの分野でも石川県と連携しながら、同時に富山県は加賀百万石の分家だから本家を上回ることは僭越で、本家石川県に遠慮して石川県の後でよいというようなことではなくて、石川県に負けないようライバル意識を持つことも大切だと思います。連携も大切ですが、ある程度の競争も必要だと思います。  新田知事、急に言いましたが、ちょっと今のことに対して感想があればお答え願いたいと思います。急に言って申し訳ない。 48 新田知事 先ほどの質問でもありましたように、私のルーツは石川県にありまして、90年前ですが、祖父が北陸電力で働くために実は富山に移住してまいりました。そういう意味では、北陸電力さんが富山にあるので、私も今ここに立っていられるということになります。  委員おっしゃるように、やっぱり競争と協調ということでしょうか。今早速、サミットの宣言はどっちが先かみたいなことまであおられていますが、馳さんとは、また事務方同士もそのような、あんまり末節のことは気にせずに、本当によりよい教育大臣会合になるように、またその他の観光のこと、道路のことなどなど、しっかりとした連携をしてウィン・ウィンになるような関係をつくり上げていきたいと思っております。 49 杉本委員 ありがとうございます。  次に、アメリカ・オレゴン州訪問について2問お伺いいたします。  7月31日から8月7日まで、新田知事を団長として、渡辺県議会議長、北村富山日米協会長、山下富山県経営者協会長、松浦日本青年会議所、北陸信越地区富山ブロック協議会会長、針田富山青年会議所理事長などの一行がアメリカ・オレゴン州を訪問されました。  新田知事にとりましては、知事就任後、初めての海外訪問になりましたが、県知事の視点で先進国を視察し、どのような感想を持ち、オレゴン州において起業や交通政策の先進的な取組を視察し、知事として視察の結果を今後どのように生かしていかれるのか、新田知事のお考えをお伺いいたします。 50 新田知事 私が初めてオレゴン州に行ったのはもう30年前でありましたが、その頃はやはり農業と林業の州というイメージでありました。もちろんナイキという会社は既にありましたけども、大体ナイキと林業、農業というイメージでした。  30年たって、もちろん林業、農業もありますし、またナイキはより巨大なグローバル企業として育っておりましたが、今年はさらに半導体などの最先端技術の州に変身していたこと、これが一番大きな発見でもありました。  ポートランドというのが一番大きな町ですが、そこでは起業の支援施設を見てまいりました。また、ポートランド州立大学のビジネスアクセラレーター──これはちょっと日本語にしづらいですが、起業を支援するような、そんな立場の人ですが──、この人から大学での起業支援の取組について説明をしていただきました。  また、ポートランド市当局からは公共交通についての説明も受けました。実際に電車にも乗車したところであります。ポートランドは社会全体でこの起業というものを応援しようという、そんな機運が満ちているように感じましたし、また若い人が、若くなくてもいいですが、いろんな人が挑戦できる文化を有しているということ、また公共交通機関の利便性も高くて、ウエルビーイングの高い町だと感じました。  今回の訪問を踏まえまして、この起業ということについては、本県でも創業支援センターを中心に、創業相談あるいはセミナーなどを開催して、起業する心を育んだり、そしてまたいろいろなやり方など──委員の足元の蓮町に今建設中の拠点を提供したりといった──起業の基盤となる支援を行ってまいりますし、また突き抜けるような成長性のある新興企業を集中的に支援しまして、言わば次に続く人のお手本となるような企業をつくり出していく、そういったことを育む、そんな体系の構築を目指してまいりたいと考えています。  また、県内の大学生などを中心に、ポートランドなどに学生を派遣する起業あるいはビジネス研修の実施も予定しております。今もう募集を始めようというところでございます。それから、大学発の新興企業や、起業が大学生の進路の選択肢の一つになるように、大学などとも協力して挑戦する機運を醸し出していく、社会全体で起業家を応援する、そのような文化を富山県にも根づかせていきたいと考えております。  また、ポートランドでは、市民が快適に移動できる環境をつくるといった目的を、行政、また関係者の皆さんが共有しているということも大変に興味深く、また見習うべき点ではないかと思っております。  富山県地域交通戦略会議が立ち上がりまして、今議論を進めておりますが、事業者の収支採算性あるいは事業者への経営支援ということ──これはもちろん、必要なものはしなければならないのですけども、この視点だけではなく、ウエルビーイングの向上という視点から議論を進めているところでありますが、ポートランドでも全く同じような視点が持たれて、それがこの市当局あるいは交通関係者の共通理解になっていることも確認できまして、実際に担当の方の口から聞きまして、私たちが今、交通戦略会議で進めている方向性が間違っていないということを確認できたのも、今回の大きな成果だと考えております。 51 杉本委員 ありがとうございます。今ほどお話しいただきましたが、視察の成果を今後十分に生かしていただくようお願いいたします。  質問の第2。  行政や企業同士の交流という観点ももちろん重要でありますが、国際交流の土台となるのは人と人との交流の積み重ねであり、今後10年、20年先の交流を担う人材の育成も必要であります。  オレゴン州とは、経済交流や学術交流、観光分野の交流などを進める上で、特に若い世代をはじめとした人と人との交流を一層進めてもらいたいと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、廣島生活環境文化部長のお考えをお伺いいたします。 52 廣島生活環境文化部長 オレゴン州との経済をはじめとした各般の交流、これを推進するためには、御指摘のとおり、若い世代の方々の交流、そして相互理解の促進というものが必要であると考えております。  県ではこれまで、オレゴン州の大学生を対象に日本語スピーチコンテストを実施いたしまして、交流を担う人材の育成に努めてまいりました。また、日本語教育に熱心な学校への日本語図書の贈呈など、青少年への富山や日本文化、こうしたものの発信にも努めてまいったところでございます。  これに加えまして、今回の訪問を契機としまして、今後、若い世代の交流や相互理解をさらに促進する取組を行いたいと考えております。具体的には、今年12月には、新たに県内の大学生チームにオレゴン州の大学生もオンラインで加わっていただき、英語プレゼンテーションコンテストを開催しまして、学生同士の交流を促進したいと思っております。また、来年2月には大学生をオレゴン州ポートランドに派遣し、起業家精神を養成するための起業ビジネス研修を予定しております。現地の大学生と若手起業家との交流ということも検討しているところでございます。  このほか、県立大学とポートランド州立大学との学術交流協定締結に向けた協議も支援することとしております。これによりまして、若手研究者の交流が進むことも期待したいと。  こうした取組を通じまして、オレゴン州との間で、若い世代をはじめとした人と人との交流、相互理解の促進、こういったものに努めてまいりたいと考えております。 53 杉本委員 ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。  次に、今ほど大門委員も触れられましたが、富山湾岸サイクリングコースの魅力の向上、PRについて2問質問いたします。  質問の第1、9月補正予算案において、台湾のサイクリストを誘客するための予算が計上されていますが、今後どのような戦略を持って富山湾岸サイクリングコースのPRに取り組むのか。  台北便再開のめどはまだ立っていませんが、今後回復が見込まれるインバウンド需要を取り組むためには、再開に向けて今から種をまいておくことも重要と考えます。地方創生局長のお考えをお伺いいたします。 54 南里地方創生局長 富山湾岸サイクリングコースについては、県民をはじめ、国内外のサイクリストが富山湾の美しい景観や沿線の多彩な歴史、文化、食を存分に楽しみながら快適に走行できるように、サイクルステーションやサイクルカフェの整備、多言語版のサイクリングマップやウェブサイト、PR動画の作成など、受入れ環境の整備や情報発信に努めてきたところでございます。  さらに、昨年、日本を代表する6つのナショナルサイクルルートの一つに選ばれました富山湾岸サイクリングコースをはじめとした本県のサイクリングコースは、外国人観光客の受入れ再開後の海外からの誘客の大きなアピールポイントになると考えておりまして、効果的に進めていくためにも、戦略的なPRを行うことが重要だと考えております。  このため県では、まずは直行便があり、本県観光地の人気が高く、サイクリング先進国でもある台湾からの誘客を図りたいと考えております。  御紹介あったように、富山-台北便は本年12月末までの運休となっておりますが、今から種をまいておくということも大事だと、そのとおりだという御指摘は思っておりまして、今から先を見越した取組が大切であるということから、現地旅行会社、サイクルショップへの出向宣伝、県内サイクリングコースPR動画を活用したSNSによる情報発信を実施したいと考えており、そのために必要な予算案を本定例会で提案させていただいております。  今後、増加が見込まれるインバウンド需要を取り込むためにも、市町村やサイクリング関係団体、民間事業者とも連携しまして、走行環境や受入れ環境を磨き上げるとともに、現地での情報収集や情報発信の強化に努めてまいります。 55 杉本委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  質問の第2点、富山湾岸サイクリングコースのさらなる魅力向上のため、岩瀬漁港、岩瀬浜海水浴場の前まで海を眺望できるコースを新たに整備して、ルート変更といいますか、ルート延長をしてはどうかと考えます。  このことについては、去る2月定例会でも提案いたしました。2月定例会では、当局からは、関係者の協議、調整が必要な課題もあり、今後、関係者の意見を踏まえて、必要性や実現可能性について検討したいとの答弁がありましたが、その後、検討状況はどのようになっているのか、市井土木部長にお伺いいたします。 56 市井土木部長 委員の御提案を受け、関係者の意見聴取に先立ち、今年度、県道富山魚津線の岩瀬浜駅前交差点から岩瀬漁港や岩瀬浜海水浴場を経由して既存の富山朝日自転車道線に接続する区間について、現地を含め状況を調査しました。その結果、岩瀬浜駅前から岩瀬漁港沿いにかけての部分については、既存の臨港道路があることから、地元や港湾関係者との調整が整えば、ここにナビゲーターラインを引いて活用するルートが想定できると考えております。  一方で、その先の岩瀬浜海水浴場沿いに既存自動車道を接続する部分については、海岸沿いに並行して整備された岩瀬浜緑地の山側の市道を活用するルートが想定されますが、このルートは既存自転車道に接続するため、現在行き止まりとなっております市道の先で、道路用地を新たに取得する必要がございます。  この土地につきましては、海岸環境整備が完了した平成元年以降、土地利用がなされていないところでございまして、この用地を新たに取得する必要があることから、地元にも確認する必要がありますが、その実現はなかなか厳しいのではないかと考えております。  このため、現時点では、ルートの変更よりも、むしろ周知が図られてきた現行のルートでコースの魅力を高めていくのが現実的ではないかと考えております。  岩瀬地区は北前船の歴史と文化を生かした町並みを有しておりますことから、例えば、観光協会中心に取り組まれている南砺市や立山町のように、関係団体などにおいて岩瀬の観光施設等を周遊するコースを別に設定され、富山湾岸サイクリングコースと一体的に活用することができれば、相互に魅力が高まり、岩瀬地区のにぎわいの創出につながると考えております。  今後、関係者の皆様にも相談したいと考えており、コースの魅力向上が図られるよう取り組んでまいります。  以上です。 57 杉本委員 今、新しい提案もなされました。私たちも地元で、そのようなことも含めて、少しでもこのサイクリングの魅力といいますか、地元の観光も含めて進めていきたいと思います。  ただ、前にも言うたとき、当局のほうは、カナル会館も自転車あるねかと言われたけど、あれは、ママチャリなんやね。やっぱり自転車が得意な人は本格的なものを期待しているんです。  先ほども言われましたように、おかげで、この間も浜黒崎のキャンプ場に行ってきましたら、いや、なかなか立派な自転車置いてあってね、平井さんって人もなかなか熱心な人で、いろいろSNSで発信しておられるがやちゃ。そしたら、やっぱり結構いろんな効果があるので、県のほうもいろいろ努力していただいて、山本徹委員も大門委員もそこの研究に来てかれたと言って喜んでおられました。  ということで、やっぱりサイクリングというのは一つの大きな魅力だと思いますので、みんなで盛り上げていきたいと思います。  次の質問へ入ります。  次に、富山市北部地区の整備について3点質問します。  質問の第1点、富山市蓮町に来月開設予定のSCOP TOYAMAについて、創業支援、移住促進の拠点としての機能だけでなく、地域の活性化にも寄与する取組が活発に行われることを期待します。  施設の運営は民間企業に委託されますが、経営面だけでなく、地元住民に愛される施設となるよう努力してもらいたい。  今後、地元住民との交流などの事業をどのように展開していかれるのか、新田知事にお伺いいたします。 58 新田知事 富山市蓮町の旧県職員住宅を活用したSCOP TOYAMAですが、来月の28日に開所を目指しておりまして、今、入居者の募集や開所に向けた準備を進めております。連休中、私もまた見に参りましたが、ほぼ建物ができており、あとは外構の整備、そんな段階に建築としては差しかかっていると理解しています。  これは全国的にも結構珍しい、あるいは先駆的と言っていいんでしょうか、そんな職住一体の施設を目指しておりまして、利用者の段階に応じて必要に合わせた支援を提供するとともに、先ほど御質問にもありましたポートランドのように、地域全体で起業を応援するような雰囲気を有する、そんな本県の起業支援の拠点としていきたいと考えています。  そのほか、創業支援センターでは、事務所やお試しの店舗などを貸出しいたします。そして、創業相談や市町村や民間の施設、各支援機関とも連携して催し事を開催したり、起業家や関係機関が集まる、そこで絆やつながりができるようにしていきたいと考えております。  また、住宅は、移住者向けの集合住宅のほかに、移住者に限定しないですから地元の方でも借りていただける、そんな居住施設を設けまして、移住者と県民との交流が生まれるような工夫も施しております。  さらに、地元の方々の要望で整備をしましたお試しの店舗の喫茶店では、富山工業高校の生徒さんに椅子や照明などを製作していただいておりまして、今後も協力して、若者が気軽に立ち寄り、学びの場になったり、また人脈づくりができるような場づくりを進めてまいりたいと考えます。  開所の後には、委員御指摘のように、地元の皆様に愛される施設となるように、これはやっぱり、民間に委託するから、なおさら我々役所がやるよりもより一層地域になじむ、そんな施設になるように努力されると思います。  そしてまた、地域の活性化にもつながる、よき企業市民、企業住民ということを目指して展開することにしておりまして、この10月28日の開業に合わせまして、週末の30日には、この敷地内において、地元の企業さん、地元で商売を商っていらっしゃる方に朝市を開催していただくということで今準備を進めています。SCOP TOYAMAと地域の盛り上げを図っていければと考えます。  このようなことで、本来の第一義的な目的は、本県の起業支援の拠点とすることですが、併せて地域の活性化にも資するような施設に育て上げていきたいと考えております。 59 杉本委員 今、新田知事からもお話がありましたが、この施設は富山工業高校の学生さんが提案されたものを、この地元の萩浦校区の自治会長の山辺会長さん──亡くなられましたが──と当局に熱心に働きかけて、そして自民党の幹事長の宮本議員も富山工業高校のOBということで働きかけて実現したものであります。今後ともひとつみんなで協力して盛り上げていきたいと思います。  質問の第2、7月14日に、富山市岩瀬地区周辺エリアが、国土交通省のみなとオアシスに登録されました。観光やにぎわい創出の面での効果が期待されますが、今後見込まれる具体的な取組と効果について、土木部長にお伺いいたします。 60 市井土木部長 みなとオアシス富山は、富山港周辺の岩瀬カナル会館や北前船廻船問屋森家、富岩運河、富岩運河環水公園などを核としたまちづくりを促進するため、富山市の申請に基づき、国土交通省が本年7月に登録したものでございます。  この地域では、これまでにぎわいの創出として、地域の皆さんや漁業者の方々が中心となって岩瀬カナル会館において開催される岩瀬みなと祭りや、地元の鮮魚をPRする岩瀬丸市をはじめ、運河のまちを愛する会による運河まつりなどのイベントが行われております。また、県でも運河沿いの遊歩道整備を進めているほか、富岩水上ラインを富山市と共同運行しているところです。このような官民連携した取組が登録につながったものと考えております。  今回の登録により、国のみなとオアシスのホームページを通じて、こうしたイベントや地域の資源について全国へ発信がなされ、県内外の人々に北前船で栄えた岩瀬の町並みや運河など、このエリアを知っていただくきっかけが生まれます。これにより、住民の交流促進や観光客の増加など、委員御指摘のとおり、観光やにぎわい創出の面での効果が期待されているところでございます。ただし、継続した取組も大切であると考えております。  現在、県では、富岩運河沿いの遊歩道の住友運河を渡る歩道橋の整備や、岩瀬スポーツ公園に近い米田貯木場の緑地への再整備に取り組んでいます。  引き続き、富山市や地域の皆さんの御協力を賜り、みなとオアシス周辺の官民連携によるにぎわいの創出が図られるよう、努めてまいります。 61 杉本委員 ありがとうございます。とにかくひとつよろしくお願いいたします。  質問の第3、最後の質問です。  昨年の東京オリンピックにおいて、龍谷富山高校の中山楓奈選手がスケートボード競技で銅メダルに輝いたことから、県内においてもスケートボードへの注目が集まっております。来月、岩瀬スポーツ公園にスケートボード場を試行的に設置されるということですが、公園の魅力向上に大きく資するものと考えます。
     県民のニーズや課題の検討も行った上で、ぜひ本格的な設置につなげてもらいたいと思いますが、土木部長の所見をお伺いいたします。 62 市井土木部長 都市公園内へのスケートボード場の設置については、委員御紹介のとおり、現在注目も集まっており、公園の魅力向上に大きく資するものであると考えております。その一方で、周辺環境への騒音や駐車場不足などの課題も有しておるところでございます。  こうしたことから、県では、スケートボードに対する県民のニーズや課題を把握するため、今年度のサンドボックス予算を活用し、今週末の10月1日、2日の両日、岩瀬スポーツ公園においてスケートボードコーナー設置の試行事業を実施します。具体的には、指定管理者が例年行っているイベントの一つとして、公園の中央広場の一角に専用のコーナーを設け、年齢等の制限なくスケートボードを体験していただくもので、当日はインストラクターが常駐し、安全面にも配慮しながら運営を予定してございます。  この試行事業では、さらにイベントへの参加者や周辺地域の方々を対象としたアンケート調査も行うこととしています。その調査の中で、県立都市公園におけるスケートボード専用施設設置へのニーズや課題等について把握し検証を行い、その結果も踏まえ、本格導入についての検討を行うこととしております。  県としましては、スケートボードの経験者はもとより、これまでスケートボードに触れたことのない未体験の方にも、今週末に開かれるイベントに御参加いただき、地域の方々を含む幅広い世代の多くの方々から率直な御意見をお寄せいただきたいと考えているところです。 63 杉本委員 僕は毎日、議会だよりを何十年間、県議になってから28年ぐらいたちますが、富山市内の3分の1ぐらいに毎日配布しとるがやちゃ。そしたら、道路で小学校の小さな子供たちがスケートボードに乗って遊んであるくがいちゃ。今、正式にスケートボード場を造ると、いろんな人たちがこれを利用して、将来またオリンピックとか何かに出てくる人もいるんじゃないかと思うんです。実際問題、中山選手もそうだからね。  いろんな意味でも夢のある話でありますので、ぜひ前向きに進めていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 64 筱岡委員長 杉本委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  午後の会議は1時に開会いたします。                      午前11時56分休憩                      午後1時00分開議        平木柳太郎委員の質疑及び答弁 65 奥野副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  平木委員。あなたの持ち時間は60分です。 66 平木委員 よろしくお願いいたします。  あまり同じ年に見られませんが、大門県議と同じく38歳でございます。大門さん並みのはつらつさで質問に臨みたいと思います。  まず、スタートアップ創出と起業家支援について伺わせていただきます。  これは、針山委員からも元金融機関社員の視点、立場からいろいろとお話がありました。私は元ベンチャー起業家という立場からも聞いていきたいと思います。  最初の質問は、和製英語のベンチャーというものではなくて、スタートアップの創出と支援を県は目指すとしています。このスタートアップとはどのような事業、また企業と定義をしているのかということを伺いたいと思っています。  経済産業省におきますと、例えばこのような定義があります。「新たな市場を開拓し、事業の価値を短期間で飛躍的に高め、株式上場や事業売却を目指す企業や組織」。もともとは、シリコンバレー等で新しく設立されたばかりの企業という意味でも使われているということです。  アメリカの場合では、スタートアップというふうに言われていましても、必ずしも会社の歴史が浅いということではなくて、中にはちょっとした歴史のある会社も含まれている。それもスタートアップ企業と呼ぶこともあるそうです。  日本においては、歴史とか規模、そういったもので判断することも多いかもしれませんけれども、今回改めて、ベンチャーということではなくて、スタートアップとはどのようなものなのか、最初、昼過ぎの頭の体操として皆さんに考えてもらいながら、知事政策局長から御指導いただきたいと思います。お願いいたします。 67 三牧知事政策局長 ベンチャーにつきましては、委員の御指摘のとおり、和製英語でありまして、富山県といたしましては、やっぱり本県から県外、さらには国外へとビジネスを拡大していく企業を生み出していくと、そういう高い目標を持ちまして、グローバルに通用するスタートアップという言葉を使わせていただいております。  その定義でございますが、私、経産省出身なので引っ張られているところもあるかもしれないんですけれども、スタートアップにつきましては、まず事業については多様な形があると。ここは委員も御存じのところだと思います。ただ、取組といたしましては、革新的な技術やアイデアにより、最終的には本県の経済成長を牽引し新たな産業の創出につながるイノベーションを生み出してほしいというところを期待しておりますので、やはりある程度リスクのある事業にチャレンジする企業であると考えております。  そのため、資金調達の面でも、従来からの金融機関の融資による間接金融よりは、ある程度のリスクを許容し得るベンチャーキャピタルや事業会社からの投資による直接金融が中心になり、先ほどもお話がありましたが、行く行くは上場を目指して規模を急拡大していくことを目指す企業と想定しております。アトツギベンチャーという言葉がありますけど、そういう意味ではアトツギスタートアップ、代替とかそうしたチャンスに新しい事業に取り組むという企業も含むと考えております。 68 平木委員 ありがとうございます。  幾つも今エッセンスが含まれていたと思います。後ほどエコシステムに関してもお伺いしますので、そのあたりで詳しく進めたいと思います。  さて、つい先日、とやまスタートアップ、T-Startupに、6社が選出されました。その応募条件や選定基準で特に重視された点はどのようなものか。またこの6社は伴走支援──ハンズオンというふうに言っておりますが、この伴走支援の後にどのようなゴールを、その会社が描いているかもしれませんし、県が描くかもしれませんが、それはどのような状態なのかを伺いたいと思います。  6月の定例会では、藤井議員の質問に三牧局長からは、富山県にスタートアップ・エコシステムを構築すると、そのロールモデルとなる成功事例をつくりたいんだと、そのような答弁もございましたし、まずは県内のスタートアップ創出機運を醸成し、そのロールモデルをつくる過程でのエコシステムの構築という御発言もございました。この6社について大変な期待も集まっています。SNS上では選出されたことに対して、おめでとうとか、よくやったというふうな称賛の言葉も聞かれますが、この6社に関してはこれからが非常に重要かと思います。そのゴールについても含めて、三牧局長、お願いいたします。 69 三牧知事政策局長 T-Startupにつきましては、今、委員からお話しありましたとおり、とやまスタートアップ戦略会議の委員等で構成される選定委員によりまして、書面審査、そしてオンラインのピッチ審査を経まして、6社をT-Startup企業として公表したところでございます。  選定に当たりまして、この事業は富山県内にロールモデルを創出するとともに、スタートアップ・エコシステムを構築するというところを目的としていることから、1つは、エントリーシートの記載内容や起業家によるプレゼンテーションを通して、起業家が目指すビジョンや熱意、そして事業計画のIPOの実現可能性といったロールモデルとしての適格性、あわせて、本事業による支援の必要性と期待される効果とエコシステム構築への寄与度を重視して選定を行いました。その意味では、我々の支援がなくても、これはうまくいくんじゃないかという案件であったり、支援の内容が非常に後者の課題に寄っていると。そうしたものについては、その寄与度というのをちょっと低く見たところもございます。  6か月のハンズオン支援後に描くゴールにつきましては、6社各社のステージが異なることから、まずは各社ごとのヒアリングを踏まえて各社ごとにゴールを設定していくと。それをまずは達成していくというのを目指しております。  あわせて、我々としてはIPOを目指すというのが目標ですので、上場までのスケジュールの策定、そしてその上場に耐え得るような体制整備等ができている状態も目標にしております。  そのため、各社のゴール設定に合わせて、これからオーダーメード型の伴走型の支援プログラムを実施していきたいと考えております。  また、伴走支援終了後にそのままうまくいかないというふうになっては困りますので、T-Startup企業が上場に向けて、自らPDCAサイクルを回しながら、必要なサポートを自ら探して、見つけて、受けられるような、そうした変化にも対応しながら自立的に成長できるような状況にしていくと。それに対して必要な知識の習得とネットワークの形成をこのプログラムを通じて各社が持てるようにすることで、ロールモデルとして成功させるとともに、あわせて我々もエコシステムの構築に向けた経験というのを積んでいきたいと考えております。 70 平木委員 今ほどの2つの答弁におきまして、スタートアップの今後の活躍にはエコシステムというものに対してのつながりが非常に強いということが三牧局長からの答弁でお分かりになると思います。  では、このスタートアップ・エコシステム、本定例会でも何度も取り上げられておりました。例えば、経団連のスタートアップ躍進ビジョンというものを見てみますと、このスタートアップ・エコシステムに関しては様々な課題もあるというところの取上げの中で、かつ、先ほど三牧局長から答弁のあった中でいうと、資金面の調達でベンチャーキャピタルや事業会社、事業投資会社等の支援を受けた場合、ほかの企業よりも平均して生産性を1.6倍高めることができるという資料などもその中には含まれていました。  今回、スタートアップ・エコシステム構築における課題と解決策を伺いたいわけですが、ホームページを見ますと、株式会社ロフトワークが仲介することで専門人材等のマッチングを進めるなどもありますけれども、このあたりもあくまでエコシステムの一部ということになります。同社に依存することではないと思いますし、また県の地力を高めるためにはどのように進めていけばいいのか。そして、経済産業省の発表によりますと、そもそも日本全体のスタートアップ・エコシステムというもの自体に人材、事業、資金の各面で課題があるという中で、今回もし富山で、富山型のという言い方をすればいいのか、日本の都市型のスタートアップ・エコシステムを構築することができれば、非常に大きなインパクトを残すと思います。そのための課題と解決策について伺います。 71 三牧知事政策局長 スタートアップが上場もしくは同程度まで成長するためには、今ほど委員からもありましたけれども、ベンチャーキャピタルからの資金調達などのファイナンス、ビジネスマッチングや販路開拓、そして知的財産の活用など、スタートアップ特有の様々な課題を乗り越えていく必要があると考えております。  スタートアップ・エコシステムにつきましては、こうした課題に直面した起業家が、ベンチャーキャピタルや専門性を有する支援者、そして必要な支援機関と自動的に自発的につながることで、スタートアップが上場できるまで成長し、さらに次のスタートアップ、起業家を引っ張っていくと。そうした自立的な循環が生まれる経済社会システムを指すと考えております。  そういう意味では、VCとかも、支援をするというよりは、むしろビジネスになるからここに集ってくると、そういう状況であると考えております。  一方、本県の現状でございますけれども、こうしたスタートアップが上場した事例が少ない、ほぼない状況でございます。その結果、そうした支援を行う専門家やネットワーク、それをビジネスにする専門家やVCというものが少ないというか、これもほぼ現状ない状況でございます。  一方で、こうした支援を行う方々が少ないので、上場するようなスタートアップが生まれない、それを目指す起業家が少ないというような、いわゆる鶏が先か卵が先かという状況に直面していると考えております。ここが本県の抱えるエコシステムの構築に向けた最大の課題であると考えております。  本県でこうしたエコシステムを構築していくためには、まずはロールモデルとなる成功事例をつくり、県内のスタートアップ企業を創出していくと。こういうスタートアップを目指そうという起業家を一人でも多くつくっていくと。あわせて、エコシステムに必要な知見とネットは、特にネットワークのほうだと思うのですけれども、スタートアップにつながるような、課題を乗り越えられるような方々を富山に呼び込んでくるような、そういうような仕組みづくりというのが必要だと考えております。今回のロフトワークもそのきっかけ、まず第一歩だと考えております。  そういう意味で、このT-Startup支援事業を通して、まずは県内でスタートアップを目指す方に、段階に応じた支援をしっかりとやっていくと。あわせて、そのロールモデルの創出を通して、我々もそうしたVCの支援できる方とのネットワークを県としてしっかり持っていくと。なかなか、いきなり自立的にエコシステムができるかというところ、道は険しいですけれども、まずはそこの一歩一歩、起業家を増やしていく、そして支援のネットワークをつくっていく、そこを着実に進めていければと考えております。 72 平木委員 スタートアップの支援で半年、6か月というところで、当然ながら、そこでIPOが実現できますということはもちろん考えられないわけですが、その取っかかりとなるところまでは進めていける、その可能性がある6社をどう支援していくかということだというふうに認識をいたしました。  次の質問としては、首都圏での新産業スタートアップマッチング事業についてです。  渋谷キューズの話題もいろいろと出ておりますが、この渋谷キューズを活用していくとのことであります。マッチングといいましても、なかなか簡単ではないと思っていますが、そのつなぎ役というのは誰が行うのでしょうか。また、その目標設定はどのようなものなのか。そして、起業家及び支援者のネットワーク構築が図られなければ、先ほどのエコシステムの中にもこの価値は見いだせないと思っておりますが、この構築は誰が旗振り役となって進めるのかということをお聞きしたいと思います。  渋谷キューズに入ったからこれが完結するということでもありませんし、渋谷キューズのスタッフが全部やってくれますということではないことも容易に想像できます。これに関して現時点でのお考えをお聞かせください。 73 三牧知事政策局長 県では、昨年12月から東京の会員型共創施設、渋谷キューズに入会しているところでございます。現状、そうしたマッチングの旗振り役につきましては、やはり県でしっかりとネットワークを積み重ねていこうというところで、県職員、首都圏本部だったり日本橋とやま館のスタッフが今つなぎ役として頑張っているところでございます。  ただ、彼らだけではやはりなかなか、スキルやネットワークが限られておりますので、運営会社である東急さんにも多大な協力をいただいているところでございます。  これまでこの施設を活用しまして、今年の1月には富山県内の起業家向けのオンライン説明会、そして3月にはこちらの県内の3事業者が実際に現地に行って、渋谷キューズ会員等とのグループディスカッションのイベントを実施いたしました。あわせて6月には、富山県内の起業支援施設HATCHさんであったり、Sketch Labさんにおいて、渋谷キューズとオンラインでつないで、県内起業家が参加した事業の説明会であったり、ワークショップ等の各種イベントを精力的に開催しているところでございます。  この事業の最終目標につきましては、成長戦略のスタートアップ支援戦略のKPIである、IPO1社または上場企業と同等の企業価値を発現する全国レベルの企業の複数社創出でありますけれども、県内のスタートアップ・エコシステムに向けた起業家や支援者のネットワーク構築、先ほど申し上げましたけれども、こうしたネットワークの構築や、あわせて県外のスタートアップの誘致につなげたいと考えております。  現に、先日、渋谷キューズで説明会を行いましたデジタルソリューション事業──Digi-PoC TOYAMA(デジポックとやま)でございますが、7件の採択を目指しているのですけれども、約60件に上る──うれしい悲鳴の状況ですけど──提案が集まったところでございます。  当事業につきましては、まずは、こうした富山の課題とそうした東京の企業のマッチングを含めて、マッチングの機会というのをとにかくいっぱいつくっていくというところを目標に取り組んでいきたいと考えております。 74 平木委員 数字としても明確に、7件と六十数件ということで見えてきているという形だと思っています。  一方で、富山県内に目をもう一度戻しますと、創業プログラム等実施支援事業というのがございます。これは、いわゆるこれまでの起業塾や創業塾というふうなものを県が主催するのではなく、市町村、また地域の経済団体に委ね、その開催を支援する方針というのは以前から知事からも示されているとおりです。  その効果をどれぐらい発揮しているかというところに関して、この実施支援事業の現在の支援状況並びに今後の見通しについて伺います。お願いします。 75 三牧知事政策局長 創業プログラム等実施支援事業につきましては、起業未来塾による長年の取組の結果、県内にそうしたスモールビジネスにチャレンジする機運が醸成され、一方で、市町村や民間、商工団体などの支援機関においても、創業スクールやインキュベーション施設の開設など、そうしたスモールビジネスに対する支援が広がりつつあるということから、スモールビジネス分野での起業家育成における県の役割を見直し、県による直接のスクールである起業未来塾を廃止するとともに、市町村や民間事業者の創業スクール等の開催を支援する、また新しい補助制度として今年度から実施しているところでございます。  現在、富山市さんと高岡商工会議所さん、そして射水商工会議所さんの3者から支援をいただき、創業塾やビジネスプランコンテスト等の取組に対して、県としても支援しているところでございます。  今後の見通しですけれども、2月にまとめた富山県成長戦略におきましても、富山らしさを生かした交流人口の増加につながるようなスモールビジネスの支援について盛り込ませていただいているところでございます。  スモールビジネス分野での創業支援は、先ほど来申し上げているスタートアップ支援に比べると、ノウハウの横展開が比較的容易であると考えておりまして、各種支援機関のネットワークをしっかりと構築し、そうしたノウハウの共有を図っていくということで、起業家の課題解決に必要な支援がある程度は提供できるのではないかと考えております。  そこで、来月開所するSCOP TOYAMAや起業支援に積極的な市町村や商工団体で構成するとやま創業支援連携会議、そうした場を活用することで、自治体と支援機関の密接な連携体制をしっかりと構築していくとともに、スモールビジネス支援につきましても、とやまスタートアップ戦略会議の専門家の皆様の御意見をしっかりいただいて、その政策のPDCAをしっかり回して、今後のスモールビジネス支援をしっかりとやっていきたいと考えております。 76 平木委員 先ほどからスタートアップという言葉がどうしても目につきやすいですけれども、一方で、そういったスモールビジネスやコミュニティービジネスという大切さも、今ほどの答弁で今後も図っていくということを伺いました。  今ほどお名前が出ましたSCOP TOYAMA以外にも、県内には複数のコワーキングスペースと言われているものや、またシェアオフィスというものがあります。今月にも新しいそういったスペースが富山市でオープンしたと聞いています。  それらのネットワーク構築並びに県内の起業家コミュニティーを今後どのように育成していくお考えでしょうか。  県が今回SCOP TOYAMAを開設するということは、民間が行う場合と何が違うかというと、早期に黒字化を目指すということではなくて、県というところで、ある程度事業としての確立よりは、その公共性を維持した形での他施設への波及効果というのが期待されると思います。  県が他施設も併せた起業家支援施設としてのSCOP TOYAMA、これに関しては、例えばソフト面でいうと、ポータルサイトの開設などをSCOP TOYAMAが推進していって、県内にはこれだけ多くの支援施設があるよということを、そのものがポータルとなるような機能を求められるかと思います。これについて三牧局長に伺います。 77 三牧知事政策局長 本県の創業支援やスタートアップ支援においては、現状では、首都圏や福岡に比べますと起業家の数も限られていると考えております。その意味で、今回のSCOP TOYAMAの取組を始めて公的機関の取組が民業圧迫になるということは一番避けなくてはならないと。むしろ民間としっかりと連携して、県全体の支援を広げていくということが重要であると考えております。そのためには、市町村や民間の支援の取組との役割分担と連携を丁寧に行っていく必要があると考えております。  今ほど委員からもお話しありましたが、SCOP TOYAMAにつきましては、全国でも先駆的な職住一体の施設であることや、利用者の創業段階に応じて幅広いニーズに合わせた支援の提供が公的機関であるため可能であるというところが、特色であると考えておりますので、本県の創業支援の拠点として、ネットワークのハブであったり、窓口として民間のコワーキング施設への誘導とか、そうしたことも含めて幅広い役割、そういう意味では、かなり予算も御配慮いただいているところでありますので、しっかりと公的機関が果たすべき創業支援の役割というのをやっていきたいと考えております。  一方、スモールビジネスにつきましては、起業家にとって身近な支援体制が求められるため、民間の支援機関であるHATCHさんやHimi-Bizさんにも参画していただいて、とやま創業支援連携会議を開催しておりますので、例えば、ふだんはそうした民間の支援機関であったり市町村の支援機関に行くと。ただ、この課題は専門家のお話を聞いたほうがいいという場合には、SCOP TOYAMAに来ていただいてそうした方の相談を受けると。そういうような役割分担をしっかりとやれるような支援機関とのネットワークづくりをしていきたいと考えております。  また、今はデジタル化の時代ですので、オンラインコミュニティーとして、「とやまスタートアップコミュニティ」というものを5月から開設し、インターネット上で起業家が交流できるプラットフォームを立ち上げさせていただきました。10月からは、T-StartupプログラムのほうでもT-Startupサポーターと、スタートアップをサポートする機関の募集を開始することとしておりますので、起業家にとどまらず、サポーターにもそのコミュニティーに参画していただいて、SCOP TOYAMAのリアルの場と、こうしたオンラインの場を活用して、県全体で企業のコミュニティーと支援の体制をつくっていきたいと考えております。 78 平木委員 ここまでありがとうございました。  ここからは少し耳の痛い話になりますが、このSCOP TOYAMAを含めた起業家誘致の関連について、ほかの自治体と比較してどのような優位性をアピールするかを知事にも伺っていきたいと思います。  SNS上では、このSCOP TOYAMAの入居者第1号となりましたというふうな前向きな投稿なども見られたのですが、一般的に見て、こういった施設をつくったから起業家が来てくれますということではないと思いますし、起業家誘致に取り組んでいる県は、知事の以前の答弁にもございましたが、全国どこでも取り組んでいるんだと。そのようなスタートアップの支援も含めて、そこは全国足並みをそろえるわけではなくて、同じスタートラインに立っていると、そのような認識だとお聞きしました。  とやまスタートアッププログラムin東京の参加者とも何人かお話をさせていただきました。先ほどから出ている、皆さんちょっと耳なじみないかもしれません、ピッチという言葉。私は使ったことがないのですが、ある世代以上の皆様は何か違う電話を思い浮かべるかもしれません。ピッチというのはいわゆるプレゼンテーションのことだと思いますが、このとやまスタートアッププログラムin東京では、基本的にはピッチを中心にして、いろんな事業の構築をアドバイスして進めてきたと。その中で、そこに参加をしたから富山でいざ起業しよう、富山に行こうということになるかというと、今伺った中でいうと、ピッチはとても参考になった、しかし、人のつながりというところ以外で、現時点として富山に対して優位性を感じる部分はうまく伝わっていないという様子がうかがわれました。  これに関して、新田知事として、他自治体と今スタートラインが同じであれば、どのような富山の優位性をアピールして進めていくのかお伺いいたします。 79 新田知事 今、三牧さんとの5連発で、ほぼほぼ話は大分煮詰まってきたんだと思いますが、いずれにしましても、創業や起業が本県でまだまだ十分ではないという、そんな危機感を民間でも皆さんお持ちですし、また我々も持っていますし、また市町村の皆さんもお持ちだと思います。  民間や市町村でもそういった支援が行われていますし、本県でもそういった動きを支援しようというのはさっきの質問にもありました。そういったことです。  全国どこでもやっているというのはまさに私が言ったことですが、ただ、私は東京、大阪、博多、京都の次ぐらいの位置にはつけていると思います。どこでもやっているよというのは、県議の皆さんにもぜひそんな状況だということを御理解いただきたかったので、あえてあんな言い方をしたんですが、多少は先に出ていると思っております。  それで、今これも三牧さんとのやり取りで出ましたが、T-Startup事業に取り組んでいくと。6社という大変少ない数に絞って、そこを集中して支援していくと。このやり方も結構うちらしいかなと思っています。  さらに、公的な応援機関、これは県内の大学であり、また県の施設である産業技術開発センター、それからデザインセンター、これらから技術的な支援の体制も組めるということであります。そして、この事業はまさに三牧さんの部門で、知事政策局というのは部局横断的に取り組むことがミッション、役割でありますから、横串を刺すように全部局が絡むことができる、こういった陣立てを整えたのも1つの本県の特徴ではないかと思っております。  そして、先ほどデジポックという別の事業ですが、これも募集を行って、今60件の応募があったという話もしました。これなども、課題解決型のスタートアップのニーズ──これも知事政策局の施策の一つですけどれも──、そういったことも新興企業のニーズにも対応できていくんじゃないかと。このような取組も特徴あるものだと考えています。  それから、先ほど来これも出ておりますが、SCOP TOYAMAという職住接近というか、職住一体の施設ももうじきオープンをさせます。ハードはハードとしてですが、それを運営するのも、これは残念というか県外の事業者に来てもらいますが、ソフトをとても重視した運営をして、まさに今、人のつながり、これがないんですね。渋谷に行けばこれがあるんです。だから、いろんな人たちがそこに集積するような、そんな仕掛けもしていくという。そして、そのSCOP TOYAMAを全国にも通用するような起業家のたまり場にしていきたいと考えています。  そして、もう一つの本県の優位性という意味では、やっぱり日本海側随一のものづくり産業の集積地ということなんですね。ファブレスという言葉、これも評判が悪かったのですが。いわば自社で工場を持たないけれども、製造業をやりますよという、そんな企業を応援するやり方の一つですけれども、T-Startupに選んだ6社のうち2社は製造業とも言えます。そんな企業が試作品を作りたいというときに、やっぱりものづくりの集積がある本県ならば、試作品やってみましょうかというところもあるわけです。これはやっぱり大きなアドバンテージ、強みだと思っています。  などなど、本県ならではの優位性は私はあると思い、それをさらに遡及することによって、その場としては、もちろんインターネットなども使えますが、渋谷キューズといういい足がかりが、いわばベンチャーのメッカである東京の渋谷で得ることができましたので、そんなところでも大いにアピールをしていきたいと考えております。  そんなことで、官民連携をして、全富山として本県の起業家誘致、また起業家支援、そして起業家を育む、そんな土壌づくりに取り組んでいきたいと考えています。  などなどということをいろんなところで発信しておりますので、今月はシリコンバレーのとても有名な日本人のベンチャーキャピタルの人が県庁に寄ってくれました。どんなあんばいなのかなということで、やっぱり気にしていただけるんだと思います。また先週は、シリコンバレーの1兆円の企業のCEOがお見えになりました。これまで日本に12回来たけども、富山は初めてとおっしゃっていました。そういう意味では、これまでは多分素通りされていたんでしょうが、そういうような方々も富山に寄ってくれるようになったということは、これはやっぱり一、二歩の進歩だと考えております。 80 平木委員 ありがとうございます。  先ほどのピッチではないんですけど、やはり知事のお話をじっくり伺っていただける方には今の説明ができると思います。ざっくりいうと、そのスタートアップで非常に、それこそスピード感のある中でいろんなことを進めていく起業家の皆さんに対して、富山はここが優位だよということを明確に強いメッセージで、突き刺さるようなメッセージで進めていくための、そのようなPRの準備も進めていただきたいと思っています。  では、大きな問いの2番、次世代へつなぐ施策について幾つか伺ってまいります。  初めに、出産子育て日本一というところの部分についてですが、以前、ベビーファースト運動の活動宣言を富山県として知事にしていただきました。子育て環境日本一を実現するというパネルを掲げてその宣言をされたわけです。どのような施策目標を達成することで、この日本一という部分になると今考えていらっしゃるか。様々な取組がございますが、ここに関して明確に、改めてベビーファースト運動の子育て環境日本一の実現というところに関しての知事のお考えを伺います。 81 新田知事 私も若い頃汗を流しました青年会議所という組織が、今ベビーファースト運動ということを提唱していて、その趣旨には私も今の立場でも大いに賛同できるので、昨年の6月でしたか、そのベビーファースト宣言というものを富山県としてしました。  また、県内15市町村の首長さんにも御紹介したところ、皆さん賛同いただき、15市町村長さんも同じく宣言をしてくれましたし、今、県内民間企業でも広まっています。また、セブン-イレブンさんの全ての店舗でもこれを一緒にやっていこうということになっています。富山県ではそういった意味で、広がりが出始めていると思っております。  子育て環境日本一の実現、これは私が公約として掲げました八つの重点政策の一つでもあります。その具体策として、働き方改革やテレワークの推進による仕事と子育ての両立、また、こども病院、病児保育、独り親家庭支援など、安心して子育てできる環境の整備、これらの施策も掲げて、今、ロードマップも作成して取り組んでいるところでございます。要は、ベビーファースト運動の具現化ということにもなると思います。
     そして、その実現に向けては、具体策をはじめ様々な施策を総合的に推進していくことが大切だと考えています。そのため、今年度は、仕事と子育ての両立支援として、県内企業にコンサルタントを派遣して働き方改革の伴走支援に取り組んでいます。また、男性の育児休業取得を促進するために、職場単位で働き方改革に取り組む参加型のキャンペーンも実施をいたします。  また、安心して子育てできる環境づくりとして、小児医療体制の整備、独り親向けのポータルサイトの設置を進めるほか、今、建て替えの構想を練っております富山児童相談所、これも将来を見据えた形で建て替えていきたいと考えておりますし、県民総ぐるみで支え合う機運を醸成するため、様々なイベントやSNSによる情報発信なども行っていくことにしています。  今後も子育て支援・少子化対策県民会議、また、今年度新たに成長戦略会議のプロジェクトチームに設置しました少子化対策・子育て支援専門部会、この専門部会というのはここしかできていませんが、それがやっぱり力を入れているところであります。有識者や関係団体の皆様から御意見を伺い、市町村、関係団体、企業と連携して、この子育て環境日本一を実現するために全力で取り組んでいきたいと考えています。その努力の大きな目標だということで御理解をいただきたいと思います。 82 平木委員 分かりました。大きな目標ということで、お題目の日本一ではないということは今の答えから伺っておりました。  具体的に数値でどうなれば日本一かという意地悪な質問をするつもりはありませんけれども、ベビーファースト運動という活動の宣言をされたわけですから、日本中の自治体や、また青年会議所の後輩たちが注目をしているというところで、今後も支援をお願いしたいと思っています。  さて、続いてですが、今回、当初予算も含めて、あまり予算額としては大きくない部分ですが、今新田知事の答弁にあったとおり、きめ細やかな施策の中で社会的なインパクトは大きいだろうという事業にも光を当てていきます。  まずは、産後ケアの施策として取り組んでいる、「家族でハッピー!」と題されていますが、産後ヘルパー派遣事業に関してです。  これについては、市町村への支援を拡充という形で、現在の利用状況はどうなっているか。また、利用促進が進んでいない場合のボトルネックとその解決策について伺いたいと思います。  厚生労働省は、産後ケアの全国実態調査を進めています。市町村ごとの差が大きくて、「ワンチームとやま」連携推進本部会議での議題としても、今後具体的な議論が必要になってくるのではないかと考えます。  この産後ヘルパー派遣事業、説明があるかもしれませんが、通常6,000円の利用料が1,500円となるというような金銭的なハードルを下げることには寄与していると思われますけれども、心理的なハードルがやはりあるんじゃないかなと。子育てを私も今実践している身としては、このままだとその介助にはなかなかつながらないなという問題意識も持っております。  これに関しては、厚生部長から現状とその解決策を伺いたいと思います。 83 有賀厚生部長 産後ヘルパー派遣事業ですが、市町村と連携して産後の身体や環境の急激な変化による負担軽減を図るため、家事サポートを行うヘルパーを御家庭へ派遣する事業でございまして、昨年度は145件の利用がございました。  令和2、3年度はモデル事業として実施しておりまして、利用者や市町村の担当者の方々から、産後鬱の防止に有効、産後2か月はすぐに過ぎてしまう、利用期間を延長してほしいといった意見を多くお聞きしたため、今年度から利用期間を出生後2か月から6か月へと拡充いたしまして、6月からは全市町村で実施しております。  さらに、市町村の担当者からは、他人の目を気にして利用できない場合があるとの御意見もいただいていることから、支援を必要とする方に本事業を活用いただけるよう、認知度の向上を図るとともに、サービスを利用しやすい環境づくりに取り組んでいくことが重要と考えております。  このため、まず市町村窓口で妊産婦の方に──妊産婦の御家族も含めてですね──PRいただくとともに、商業施設におけるチラシの配布ですとか、子育て情報サイトとみいくフレフレでの情報発信のほか、新たに、11月から12月に大型ショッピングモールにおいて、子育てサービスの利用促進やイメージアップを図るイベントを開催する予定でございまして、本事業についても幅広くPRしてまいります。  今後とも、市町村や関係機関で構成する周産期地域連携ネットワーク会議等で情報共有を図るなど、市町村や関係機関と連携し、本事業を含む産後ケア事業の充実が図られるよう取り組んでまいります。 84 平木委員 ありがとうございます。  産後ケアは幅広く様々な施策がありますけれども、やはり先ほどおっしゃったようなサービスを利用しやすい、人の目が気にならないような、そのようなケアというのがまず求められるんだろうと思います。  次に、とやまリトルベビーハンドブック事業、これに関しては手帳を製作するという動きです。この手帳製作に向けた考え方や、特に注意する点はどのようなものでしょうか。  ほかの自治体でも先行して取り組まれておりまして、その取組状況の中でも、課題と、またもちろんそれぞれの地域ごとの特色というのがあると思います。  そして、今後、このリトルベビーだけではなくて、それ以外にも子育てに悩む親というのは様々な場面で想定されますが、その水平展開できる富山版の手帳シリーズ、例えば、それがリトルベビーではなくて様々なほかの障害であるとか、また親の環境によっても変わると思います。先ほど独り親家庭の部分もございましたけれども、これらにつながるような手帳製作に向けた考え方、そして注意する点を厚生部長に伺います。 85 有賀厚生部長 リトルベビーハンドブックは、1,500グラム未満で産まれたお子さんの成長記録や育児情報を掲載した母子健康手帳を補完する手帳でございますけれども、昨年度、県内の当事者団体の方々から作成の要望があったということ、そして市町村からは、県が作成すれば活用したいとの意向があったことや、他の道府県でも作成が広がっていること等も踏まえて今回作成することといたしました。  先行して作成された道府県や、作成の普及に取り組む団体からは、手帳の必要性について肯定的な当事者の声が多数あると聞いております。  ただ一方で、手帳の対象となるお子さんの保護者とじかに接しているNICUの医師方からは、小さく産んでしまったという自責の念を抱える親御さんもおり、慎重な配布が必要であるということ、また、子供の成長発達は様々でありまして、個々の子供の特徴に合わせた支援が必要であるといったような御意見も伺っております。  作成に当たりましては、周産期医療や行政関係者による作成検討会を設置することとしておりまして、この構成メンバーには、NICUで過ごされたお子さんの保護者の御意見も取り入れるため、当事者団体の代表の方々にも御参加いただくこととしております。  特別な支援が必要なお子さん──主に医療的ケア児ですね、このお子さんにも活用できる内容となるよう、検討し、作成していきたいと考えております。 86 平木委員 ありがとうございました。  手帳シリーズと先ほど述べましたが、1つのものに何でもかんでも入れようとすると、何のための手帳か分からなくなりますので、小まめに切り分けながら目的に応じて作っていく、そういった流れを期待しております。  次に、独り親に関してですが、独り親向けのポータルサイト開設を進めていらっしゃる中で、その準備状況はどうでしょうか。また、広く周知する方法をどのように計画しているのか伺っていきます。  そもそも論としては、ホームページが専用ページで増えていくよりは、県ホームページがございますから、そのトップからバナー掲示などを行い、ワンクリック、ワンタップで関連情報へたどり着ければ本当は済む話ではあると思いますが、現状、例えば県のホームページで「独り親」と検索をしますと、最も支援メニューが多く網羅されているページは、検索結果としては5番目に位置します。すぐにたどり着けるという状況には、なかなかなっていないんだろうなというところです。  特に独り親の皆さんにおいては、時間的にも余裕のない場合が多く、また確実にたどり着くためには、検索をしたらすぐ出てくるということに加えて、日頃ほかの課題を検索している中の要望とひもづくネット広告などでの周知も必要になると考えます。その計画について厚生部長に伺います。 87 有賀厚生部長 今年度開設予定の独り親向けポータルサイトは、国や県、市町村、民間団体等が実施する様々な支援制度を集約し、分かりやすく発信するものでございます。  具体的には、独り親が自分の受けられる支援制度を、居住市町村別や経済的支援、就業支援などの分野別に、必要な支援を個々の状況に応じて容易に検索できる機能を付加するほか、オンラインでの申請受付、独り親支援団体の紹介や各種相談窓口、困ったときのFAQを掲載することとしております。  現在、サイト制作を行う事業者を選定する公募型プロポーザルを実施しておりまして、進学や就職などに向け相談が増え始める令和5年1月までに開設できるように準備を進めております。  また、委員御指摘のとおり、独り親が必要なときに必要な支援を受けるには、こうしたサイトを周知することが重要でございます。このため、子育て世代になじみやすいSNS広告などを活用したサイトへの誘導など、行政と関わりが少ない独り親への周知についても工夫してまいりたいと考えております。 88 平木委員 よろしくお願いします。  では次に、教育長に1問だけ伺います。  先日、公立学校教員採用選考検査の実施状況が公表されました。本県は、またもという言い方はちょっとしたくないですが、全国最下位でありました。教員確保に向けてさらなる取組の強化改善が必要です。  以前にも議会で質問をさせていただきましたが、それから2年などもたちまして、なかなかその改善の兆しが見えてこないんだろうなと思います。官民協働事業レビューでも同様の意見があったようでして、教員確保対策は待ったなしというところというか、大きく言ってしまうと、相当手後れの段階になってきているのかなという危機感を感じております。  例えば、帰省できない学生に対して、教育実習先を県内で設けてあげるとか、なるべく富山と接した中で、教員を富山でやりたいなと思ってもらうような、できることからの着実な実行というのは求められるわけですけれども、この最下位という部分に関しての受け止めと今後の取組について教育長の考えを伺います。 89 荻布教育長 先日公表されました今年度の教員採用倍率、本県は2.0倍ということで、全国最下位となったこの結果については大変深刻に受け止めております。  その要因としては、第2次ベビーブーム世代への対応で大量採用した教員の多くが定年退職期を迎えております。採用者数は96人と過去最低だったのが平成13年度ですが、それ以降、ほぼ毎年増加を続けておりまして、近年は350人台で高止まりをしているということが考えられます。  あわせて、民間企業の採用意欲が高いということに加えまして、教員の長時間労働など、苛酷な労働環境のイメージが広まっておりまして、学生が教職を敬遠する傾向にもあり、志願者数が減少しているということによるものと考えております。  教育委員会ではこれまで、教員確保に向けて、富山県を離れた学生や本県への移住を考える方、また就職や転職を考える方に対して、県内外で本県教員として働く魅力を伝える講座やセミナーを開催しますほか、採用検査内容の大幅な見直しも行ってまいっております。  また、一昨年より、教育実習を希望する県外出身の富山大学の学生に対して、県内の公立学校での受入れ調整を県教育委員会が行う取組も始めているところです。  さらに、学校現場での業務改善を進めるとともに、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員などの外部人材の活用を進めまして、働き方改革にも積極的に取り組んでおりまして、教員採用に向けたセミナーなどでも、若手教員らが働き方の変化やその効果についてPRもしているところでございます。  先日の官民協働事業レビューでは、教育長自らのトップセールスや求人、求職サイトを利用した情報発信の必要性、また、働き方改革を一層進め、職場環境のイメージを改善すべきなどの御意見を頂戴いたしました。  私が富山県教育の魅力を直接伝えるということは、すぐにでも行いたいと考えており、また、その他の取組についても、できることから速やかに、着実に始めて取り組んでまいりたいと考えております。 90 平木委員 教育委員会には様々な課題がございますけれども、これは全県の課題ですので、例えば民間の人材をもっと教育現場に登用するという抜本的な改革をしないと、根本的な解消にはならないと考えておりますので、引き続きの取組をお願いいたします。  次の質問です。  レジリエンスな県庁に向けてということで、まずは、若手職員が学び実践する機会を幅広く提供し、現場主義を徹底するとともに、自主的に複数の利害関係者を巻き込んで動くことができる越境人材を育成していくために、まちづくりに取り組む団体への県庁職員の出向、もしくは入会を検討してはどうかという提案でございます。  ケンチョウマルシェに関しては、先日、山本委員からも具体的な称賛の声が届けられておりました。私も参加をしておりまして、次回9月30日の開催にも必ず参加をしたいと思っておりますが、ここにおいても、都市経営プロフェッショナルスクール北陸富山キャンパスの皆さんの御指導なども仰ぎながら進めているというところで、特に民間企業では、今先んじて会社間の留学などとして、人材の流動化というのが進められていると聞いております。  県としてはどのように取組を検討していくのか、経営管理部長に伺います。 91 岡本経営管理部長 委員御指摘のとおり、複雑化、多様化する行政課題に対応するためには、現場に赴き、組織の垣根を越えて、多様な主体と連携、協働し、地域課題の解決に取り組む越境人材を育成する必要があると考えております。また、さきに策定いたしました成長戦略におきましても、県として越境人材の育成を推進することとしているところでございます。  このため県では、今年度、官民連携プロジェクト組成の研修や、地域活性化センターと連携いたしまして、県及び市町村の若手職員が地域課題の解決に取り組むフィールドワーク研修を実施するなど、職員が地域や現場に出て学び、実践する機会を設けることにより、現場主義の徹底を図っているところでございます。  委員御提案のまちづくりに取り組む団体への出向等につきましては、地域課題に日々本気で向き合っている方々と共に活動する中で、自分ごととして主体的に行動する力や、様々な立場の人から意見を引き出し、複雑な課題を調整し解決する能力、最終的にまとめ上げるファシリテートする能力などを涵養するよい機会になると認識しているところでございます。  その一方で、職務専念義務や営利企業従事制限、守秘義務など、地方公務員法上の制約があることから、公務中に民間事業等に従事することが県民の理解を得られるかなどの課題もあるところでございます。  しかしながら、今後こうした課題にも留意しながら、国家公務員の先行事例や他県の類似の取組などについて研究し、若手職員が多様な活動に挑戦できるよう環境をしっかり整えてまいりたいと考えております。 92 平木委員 期待をしております。  次に、サンドボックス予算です。  各常任委員会でも、このサンドボックス予算の報告などは受けておりますが、この実証実験においては、柔軟に新しい事業に挑戦する機運を高めるための、より自由度の高い提案というのを求めるべきと考えています。  現状では、県職員の皆さんには、当然ながら、次年度予算につなげるような調査事業というものは目にとまりがちですけれども、これではサンドボックス予算の実証実験という意味合いをなさずに、基本的には、次年度の本格的な予算化のための準備ということにとどまってしまいます。失敗を恐れることなく積極的に実証実験に取り組んでほしいと、そういった強いメッセージを改めて経営管理部長から職員の皆さんに向けて発信をしてください。 93 岡本経営管理部長 委員お尋ねのサンドボックス予算につきましては、これまで知事からお話がございましたとおり、年度途中であっても、各部局が現場の視点やアイデアを生かし、新たな課題にスピード感を持って果敢に対応できるようにするため、令和3年度当初予算で新設をいたしまして、各部局に1,000万円ずつ予算計上をしたところでございます。昨年度は計30事業、7,316万円が実施され、令和4年度当初予算では、それらの成果を活用した各種事業として、約5億700万円を計上しているところでございます。  昨年度実施いたしました実証事業といたしましては、例えば、渋谷キューズに入会し、首都圏にてスタートアップ企業のマッチングに取り組む事業のほか、運転免許の更新に伴う認知機能検査へのタブレットシステムの導入や、空港スポーツ緑地におけるインクルーシブ遊具の設置などが挙げられるところでございます。また、地方創生のための人材育成に向けて、若手職員による政策提案も行っているところでございます。  一方、新たな施策に取り組むための前段階で行う調査事業といたしましては、本県移住者などへの意向調査や、マイクロツーリズムの推進に向けた調査のほか、県内企業海外展開や、農林水産物の輸出拡大に向けた実態調査などを行ったところでございます。  これらは、サンドボックス予算の設置初年度であったため、委員御指摘のとおり、実態調査などのものが比較的多かったところでございますが、いずれも新たな施策に取り組むための前向きなものであったと認識しているところでございます。  今年度も既に、現場の視点やAI技術の活用、若手職員のアイデアなどを生かした計20事業、約5,000万円の実施が提案されているところでございます。  今後とも社会情勢の変化に即応し、真の県民ニーズに機動的に対応するため、引き続き各部局には自由度の高い提案を求め、サンドボックス予算が効果的に活用されるよう努めてまいるとともに、今ほど委員からもお話がございましたように、これから私も若い職員の研修に講師として立つ場がございますので、しっかりこういったサンドボックス予算を使って提案していただくように、職員の方々にはPRをしていきたいと思っております。 94 平木委員 そこも期待をするところです。  今ほど答弁の中で言われたように、それらの成果を活用したというところが枕になってしまうと、それが最初に来るとなかなか、県の職員の皆さん、背伸びがしづらくなるんだろうと思います。  調査事業に関しても、当初予算で対応できるだろうというものがほとんどだと思いますので、今後はそういった想定力不足の露呈になるようなものは極力避けながら、かつ次年度につながらなくてはいけないということではありますけれども、多くの自由度を持った実証実験が行われることを期待いたします。  次に、県庁舎本館についての質問です。  先日、経営企画委員会において防災危機管理センターを事前に視察させていただいたところ、非常にすばらしい環境であったと同時に、その環境と県庁舎の本館との環境差があまりにも大きいなということも感じました。  デジタル化を進める中で、例えばこういったIT機器を導入して、一定程度のところまでは同環境をつくれると思いますけれども、やっぱりそもそもの職場環境の改善をしていかないと、先ほどの教職員の不足ではありませんが、県庁職員になりたいという方も、きれいなビルで働ける環境と今の県庁舎の中での環境というのを、単純に自身の職場環境を比較しただけでも、その部分には手を入れなければいけないということは感じるんじゃないかと思われます。  県庁舎本館、いよいよリノベーションが必要な時期だと考えておりますが、現在の職場環境のことを考えたときに、知事の所見を伺います。 95 新田知事 県庁舎の本館は昭和10年に建設されて、既に87年が経過しています。平成7年に行った耐震調査では、耐震性能はほぼ満たしているということで、これはとても驚きですけども、その後必要な耐震補強や維持修繕に努めまして、庁舎として今も大切に使っているところです。  また、本館の職場環境についてですが、自動ドアやエレベーター、スロープの設置、多目的トイレの増設など、ユニバーサルデザインへの配慮、また照明器具のLED化や廊下の自動照明、洗面所の自動水洗、冷暖房運転時間の柔軟な対応など、省エネ対策にも取り組んできています。  委員御懸念のデジタル化の支障ですが、これまで浸水被害の懸念があったサーバーなどの情報機器類を、本館1階から防災危機管理センターの上層階に移設するなど、適切な対策は講じています。現在のところ、デジタル化の支障となる課題は特に生じていないと理解をしています。  IT化の初期の頃は、フリーアクセスフロアと言って、床下に線をはわせるような床が結構人気があったわけですが、今はIT機器も結構コードレスでつながる時代ですので、このあたりもそう支障とは感じていません。  ただ、いずれにしろ、業務の効率化は不断の努力が必要です。DXの推進や働き方改革につながる職場環境の改善には努めていかなければならないと思っています。  本県では、県有施設の総保有量の適正化、また効果的、効率的な施設管理を行うため、今年度、公共施設ファシリティマネジメント基礎調査に着手しています。この調査では、施設の老朽化状態や社会情勢の変化に伴う利用の状況、県財政の状況など、様々な要素を踏まえながら、県有施設の改築や改修等の在り方を検討することとしています。県庁舎本館につきましても、この検討に合わせて課題などを整理していきたいと考えます。 96 平木委員 なかなかメッセージの本音のところは伝わっていない感じもしますが、期待をしております。  最後の質問です。  県では、「風の谷」構想に取り組んでいると認識をしています。先日もフォーラムが開催をされまして、提唱者である安宅和人先生を迎えられたと聞いております。  本県としてどういった将来像を持って、また、具体的にどのような取組を進めていこうとしていらっしゃるんでしょうか。デジタル活用による人と自然が共存する持続可能な地域づくりというテーマは共感でき、また、それをつくっていくため、どういう考え方を持っていくのかというのを県民で共有していくことも必要だと考えます。知事のメッセージとして伺いたいと思います。 97 新田知事 富山県成長戦略では、AIやICTあるいはロボットなど、その技術をとことん使って、本県の美しい景観を生かしながら、人と自然が共存できる持続可能で空間価値の高い地域をつくっていこうということ。そして、そうすることによって、各分野で新しい価値を生み出すような多様な人材が富山県に集積してくる。そして、ウエルビーイングの高い地域づくりを進めることとしています。  こういう取組の先進的な事例の一つとして、私はかねて議会の場でもお話をしたこともありますが、安宅和人さんが提唱されている風の谷の構想、「シン・ニホン」という御著書で紹介されておりますが、これが1つの本県の目指す将来像ではないかというふうに思い、非常に共感をしているところでございます。  このため、県民の皆さんにも共に理解を深めていただき、成長戦略への取組をより推進していくためにも、このたび安宅和人さんをお招きして、「風の谷」フォーラムを開催しました。  このフォーラムでは、未来の姿として、テクノロジーの力を使うことで──安宅さんの言葉ですと使い倒すとおっしゃっていますが──、自然と共にもっと豊かに生きることを目指す。そんな風の谷構想の検討状況──もう既に5年間検討しておられるということでしたが、その実現に向けた課題も御紹介をいただきました。その上で、県内の有志の事業者さんとの意見交換も行ったところですが、本県での風の谷の推進に向けてはまだ課題も多いとの議論にもなりました。  富山県成長戦略の6つの柱がありますが、そのうちの一つ、まちづくり戦略で目指す将来像の実現に向けまして、本県としては、デジタルなどの活用による自然豊かな中山間地域における利便性の向上、それとともに、人材集積を進めるためのウエルビーイングの高いまちづくり、そして、ウエルビーイングと結びついた本県のブランディング強化に取り組む、また、県外から人材の集積を進めることと併せまして、こうした取組を主体的に担う県内人材も育成することを進めていくということであります。  今回のフォーラムを契機として、まずは市町村や県民の皆さんと、このような議論も深めて、安宅さんをはじめ、風の谷プロジェクトメンバーもたくさん来県をいただきました。こういった方々とのネットワークも生かして、御助言も随時いただきながら、引き続きこの風の谷構想を参考にしながら、本県でのウエルビーイングが高まる地域づくりを進めていきたいと考えているところです。 98 平木委員 ありがとうございました。 99 奥野副委員長 平木委員の質疑は以上で終了しました。                      午後2時02分開議        菅沢裕明委員の質疑及び答弁 100 奥野副委員長 菅沢委員。あなたの持ち時間は60分であります。 101 菅沢委員 まず最初に、この間の県立学校の学級編制に関することで幾つか質問をさせていただきます。
     まず、荻布教育長に質問することになりますが、あなたの議会答弁で、この学級編制の問題の議会での議論、県民の皆さんを巻き込んでの議論などは、地域での学級減に、地域にとって歓迎されないという見解がいろいろある中で、かえってそういう議論は混乱を招くと。学級編制などは教育委員会で責任を持って審議の上、議決するのが適切という発言が議会であったわけです。  私はこのことについて、そういう御発言は大変問題が多いなと。学級編制をめぐって、この間、氷見市や立山町等であのような活発な論議と、県の教育委員会や地域に対して見解表明、要望がなされたわけでして、その経過を見ただけでも、自治体や県民の関心が非常に高いというか、そういう中であのような発言というのは、私は少し不適切ではないかと思って聞いております。  今もその見解は変わっていないのでしょうか。私はぜひそういう見解は変えていただいて、もっと市町村や県民、子供たちや父兄に寄り添って、しっかり意見を聞く、そういう姿勢が非常に大事ではないかなと思っておるわけです。いかがですか。 102 荻布教育長 令和5年度の県立学校の募集定員につきましては、今ほど委員からもありましたように、定員減の対象となった市町から学級数維持などの御要望をいただき、約2か月間にわたりまして、関係市町から御意見をお聞きし、また、様々な視点から、教育委員会としては真摯に検討し御説明をしてきたところです。  県立高校の募集定員の決定ということにつきましては、教育委員会の所管に属する学校の組織、編制に関することとしまして、教育委員会が管理執行するものと制度的にされているところでございます。  学級編制の具体的な案を議会や市町村に前もって御提示をして議論をするということについては、受験を控える中学生や該当校の高校生、また関係者への影響などを考えますと、慎重に考えるべきではないかと考えているところでございます。  しかしながら、学級編制の在り方やそれに関連した事項の基本的な方向性については、見直すべき点がないか検討する必要があるのではないかと考えているところです。  今後、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や総合教育会議で議論をしてまいりますとともに、県議会でも御意見を伺ってまいりたいと考えております。 103 菅沢委員 今、学級編制の在り方について、その論議とか決定も含めて見直す点がないか検討していくということでありました。これはぜひ検討していただきたいのですが、どういうことを見直すというお考えをお持ちですか。 104 荻布教育長 検討していくべき事項としては、学級編制の基本的なものになる学区の考え方ですとか、普通科、職業科の率の在り方、また公私比率など、こういったことが学級編制に与える影響というのが非常に大きいというか基本的なことになりますので、そういったものについての検討、また、学級編制の検討の進め方、これまでと同様のスケジュール感でやっていくので問題がないのかどうかといったことも含めて、いろいろ検討してまいりたいと思っております。 105 菅沢委員 今教育長がお話しになった学級編制の在り方、見直す点、論点は何かということについては、この間の6月末、7月末から9月初めにかけての学級編制をめぐる論議の中で全て実は出されていることです。  例えば学区の問題については、雄山高校はなぜ新川学区なのかと。子供たちとの関係でいうと富山学区との関係が深いとか。公私比率の問題についても、なぜ県立の枠が減ったのかとか、それが普通科の学級減に影響していないかとか、様々にもう既に論点として取り上げられていました。県の教育委員会がそれにかみ合った議論ができていない。私はそこに大きな問題があると思います。  そして、あなた方は、一度決めたことを丁寧な説明と言いながら繰り返すと。しかも、例えば、氷見市長さんが8月23日に、立山町長さんと一緒に記者会見を県庁でなさったその翌日に、県のそうした決定事項を伝達するために氷見を訪れるという非常に乱暴な対応が目立った。そういう意味では、私に言わせれば、県教委の議論の遅れと乱暴な対応、これこそ改めるべきであって、その上に県議会での議論や県民を巻き込んだ、つまり市町村を巻き込んだような議論というのは混乱を招くおそれがあるなどという見解を公になさる教育長の基本的な姿勢に私は大変疑問を持ちます。  このことだけで議論するわけにいきませんが、いかがですか、私が申し上げたことについて。 106 荻布教育長 高校の募集定員、学級編制については、これまで中学校卒業予定者数の動向や志願状況、そして、これまでの各学校の学級増減の経緯などを踏まえて、検討を重ねて総合的に判断をして決定をしてまいりました。そうした考えに基づいて来年度の募集定員についても検討を重ね、御提示をし、議決したわけですが、今回、その過程で定員減の対象となった市町から、地元の高校の定員が減るということに対する非常に御懸念の意見が聞かれました。  少子化が進み、中学校卒業予定者数が減ってきた、また今後も減っていく中で、学級編制の検討の在り方について、やはりここで一度しっかりと検討してみる、見直すべき点がないかということについてしっかり考える、そういった時期に来ていると、それは私も認識をしております。 107 菅沢委員 教育長には、そういう今おっしゃったようなことをしっかり準備をなさる、そのことを強く私は求めておきたいと思います。  知事、今のお話に関連するのですが、議会や関係市町村と議論することは混乱を招くなどという表現ですね。そのことの案件は我々の専権事項であって決めさせてもらうみたいな教育長の発言ですけれども、知事、これは私はいかがかと思いますね。いかがでは済みませんがね。  その上に、これは知事にも何回も市町村から、いろいろな角度から、首長さん、議会、PTAなどの団体からも知事にそれぞれ要望が出されておりました。その中で、このやり方は県政史上大きな汚点を残すとか、若者の地域からの流出、地域の衰退につながる等の発言や、知事が大事にし、我々も評価いたしております「ワンチームとやま」への懸念さえ表明されるという事態でした。これはやはり知事も深刻に受け止めていただいて、今回の学級編制に関する運びはやはり反省点が多いと。今、改めて見直しや検討の課題の点も出されているわけですけれども、知事もこうした一連の経過を踏まえて、しっかり県政として反省の上に立って、こういうことが二度と起きないように、これからに備えていただきたい。いかがですか。 108 新田知事 副委員長、その前によろしいですか。あちらのカメラがさっきから出たり入ったり、大変に目障りでして、これは議会なんですよ。ですから、カメラを止めるなりしていただけませんですかね。大変我々気が散るんです、出たり入ったりそういうことをされると。いかがですか、菅沢さん。 109 菅沢委員 私は後ろは見ていないので…。知事がおっしゃるとおりなら、それでぜひ。 110 新田知事 事務局長、ちょっと手を施していただけますか。 111 菅沢委員 時間止めてよ。 112 奥野副委員長 はい。一旦時計を止めていただけますか。  それでは、報道機関の皆様に申し上げます。  議論に支障がないように、移動等配慮をお願いしたいと思います。  知事、よろしいでしょうか。 113 新田知事 そうですね。1か所固定でぜひやって、大体テレビカメラはそういったことになっておりますので。  失礼しました。  令和5年度の県立学校の募集定員について、これはこれまで何度か答弁したことの繰り返しになってしまうわけですけども、教育委員会で中学校卒業予定者数の動向、また志願の状況を踏まえて、総合的に判断、慎重に審議決定したものと私は受け止めております。  今回の募集定員の決定に際しましては、私のほうにも、おっしゃるように、対象となった市町から学級数の維持などの御要望もいただいたところです。教育委員会においても、教育長の説明のとおり、関係市町からの御意見をお聞きし、様々な視点から検討し、結果を丁寧に説明したと私は理解をしております。  県立高校の募集定員の具体的な案について事前に県議会などで議論することは、私は、中学生や高校生、関係の皆様への影響などを考慮すると難しいのではないかと考えています。  また、学級編制は制度上も教育委員会で責任を持って審議の上、議決することになっています。今後も中学卒業予定者数が減少するトレンドは、なかなか止められそうにありません。  そんな中で、学級編制の在り方やそれに関連する公私比率、普職比率、社会の変化や生徒、保護者のニーズ、これらに対応した高校教育の一層の充実、また、地域や学科の特色を生かした魅力ある学校づくりなど、基本的な方向性を定める必要があります。  このために、今後、教育委員会の令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会や、私が主催します総合教育会議などにおいて、有識者などの皆さんの御意見も伺いながら議論をすることと、これも何度も答弁をさせていただいております。  こうした基本的な方向性に関しては、私は県議会でも引き続き大いに御意見を伺いたいと思います。それで、共によりよい高校教育の実現に努めてまいりたいという、その方向性は全く変わりはないと思っております。 114 菅沢委員 知事、しかし、今回の経過を見ますとね、6月20日、これは6月議会の最終日の前日に、議会の各派代表者にこの学級編制、5クラス削減のいわゆる案が配付をされました。そして、その配付された案はマル秘の取扱いになっておりまして、公開は7月12日ということです。私は会派の会長なものですから、その際、教育委員会の説明者に、これは、議会の最終日の前の日だけど、常任委員会もあったわけであって、そこに報告をして意見を求めることはできなかったのか、さらに、12日ですから、10日もたたないうちに解禁ということで、それまではマル秘、つまり、あなた方は関係の市町に説明をなさったんですかと言ったら、しておりませんと、こういうことでした。  知事、この取扱いはあまりにも乱暴で、議論の限界があるとすれば受け入れましょう。しかし、こうした運びを見ますと非常に乱暴で、私は、細かい学級数、どこでどうなってそれを議論することも、それはいろいろ配慮が必要な場合もあるかもしれませんが、このような扱いは、その後の経過を見ても大変な関心を呼んだわけですからね。もう少し丁寧な説明、決まったことだから受け入れろという上から目線ではない、非民主的なそういう運営ではない、もっと丁寧な説明、関係市町が求めたのも県民が求めたのも丁寧な説明。なぜ氷見や雄山なのかと、なぜ今なのかということの丁寧な説明を求めているわけです。  それに対して、決まったことだからということで機械的な、何ていいますかね、乱暴なんですね。混乱を招くとか、議決は専権事項でこれは適切だみたいな、そういうことでの説明でこれは終わる問題ではないような気がいたします。  今後のこともありますので、これ以上議論してもなかなかかみ合わないかもしれませんので、知事にお受け止めをいただければと思っております。  時間の関係がありますので、次に進みます。  そこで、教育長に次のことをお尋ねしますが、今度の県立高校普通科の定員に関する削減案というのは、氷見と雄山、そして富山中部、富山、高岡の5校でありますけれども、特に氷見と雄山については、定員割れであるとか、生徒が住んでいる市町村の県立高校普通科への進学割合が氷見は20%などを挙げて、つまり、これは一つの結果論なんです。  地元の市長さんや関係者の方々は、一生懸命地元の学校を大事にして、地元の子供たちが地元の高校で学んでくれたらいいと。そのことは親の希望でもあり、将来地域の子供たちが定住して活動してくれるということにつながるというような期待感を持って、そういう結果論ではなくて、前向きに地域の高校を大事にして在り方を提案しているわけです。  それに対して県は、定員割れだ、これだけしか地元の学校に、普通科に進学していないじゃないかという結論だけ取り上げて結論を押しつけるというやり方です。私は非常にこれは無責任であるという印象を強く持ちました。地域の高校に対する愛着や、それを支えていこう、多くの子供たちにそこで学んでもらうことへの期待というか、そういう前向きな考え、希望を打ち砕くというか、これは許されない論理づけだと。  したがって、ここのところは、例えば定員割れの問題だって、なぜ雄山高校かというのは、亀山委員がるる論争なさったことで、非常に説得力のある論議だったと私は思っています。  時間がないので、教育長、そういうペナルティー的に結論を押しつける、地域の前向きな高校を大事にする論議を押し潰すやり方は許されないと思っています。いかがですか。 115 荻布教育長 各市町の首長さんからは、当該市町の高校の定員が、その市町の中学生の数と比べて格差があるということも御指摘をなさっておられました。  ただ、これについては、今議会で何度か御答弁させていただきましたけれども、高校というのは、やはり自分の進路や進学の希望を考慮して、市町村域を越えて学校を選択するという生徒さんもたくさんおられる。もちろん地元の地域を愛してその学校に入学される、そういう生徒さんもたくさんおられますが、やはりいろいろな自分の興味、関心、部活動、どういったことがしたいか、いろいろなことを考えて広域的に学校を選択しているという実態もあるということは申し上げさせていただいたところでございます。  今ほど委員からもありましたが、各市内の生徒さんが市内の高校に進学している割合というのは、各市町村、地域間でそんなに大きな定員の格差ほどの差はない、ある程度バランスが取れているというようなことも御紹介をさせていただきました。  募集定員の設定に当たっては、こうした生徒の進学の動向や生徒の人口の推移などを踏まえて、やはり総合的に判断することが大切だと考えております。  そして、県立高校は、地域バランスに配慮しつつ、また、全県的な視野にも立って、高校生にとって望ましい教育環境を整備する必要があると、そのように考えて対応をしております。  現在設置しております令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、今後、各学区の在り方や普職比率など、そういったことの議論を進めていく予定にしております。  これからも中学校卒業予定者数が減少して高校の募集定員の減というのは避けられないであろう中、県立高校では、どの地域、どの学校でも、学校規模にかかわらず、適切なよい教育環境を確保して魅力的な活動が展開できるように努めていきたいと考えております。 116 菅沢委員 いろいろお話がありましたが、私は、氷見市や立山町の首長さんたちが主張した、その地域の中学卒業生数に対する普通科の定員割合をもって大きな格差が生まれているという捉え方は正しいと思います。これは、地域の学校というものを非常に前向きに積極的に受け止めて、これからそれを育てていこう、大事にしていこうという考え方も根底にあります。あなたの考えは、今、県立高校の中に生まれている格差とか、そして、その中からかなり影響されて生まれてくる結果、定員割れのような問題について、全く反省もなしに、それを受け止めて機械的に論議をしようという、教育論議としては、私は、氷見市や立山町の首長さんたちや議会の論議のほうがレベルが高いと思いますよ。そういう点は根本的に考えていかなければならない問題として提起をしておきます。  時間の関係もありますので、次に参ります。  今度の学級編制の中でもう一つ大きな、これは最大の問題ではないかと思って憂えておりますのは、この間、いわゆる公私比率の問題があります。  令和5年度以降3年間の県立、私立の定員割合を、昨年の10月から4回にわたって開催された会議でもって決めました。今回、全日制がその中で70.8%、私立が22.6%というふうに確認をされ、これは今後5年間継続するわけでありますが、その前の3年間から見たら、県立の割合が0.6%低くなっております。なぜこれを受け入れたのか。同時に、公私連絡会議の中で、児童生徒の減少を踏まえて、高校への進学、募集率についても引き下げているわけです。これはいろいろ問題があると、私は疑問に思うところでありまして、なぜこういうことを県教委は受け入れたのかということ。私はこれについて理解できません。  県教委が今調査をやっている来年度卒業生の進路希望を見ても、例えば、さらに普通科への志望が高くなっているわけですけれども、これもまた、普通科を5学級減らすことで200人減少になりますけれども、普通科を希望する子供たちの願いと反する、そういう動きになります。  なぜ公私比率でこういうのを認めたのか、そして、子供たちの願いに反して普通科の割合をさらに減らすのか。教育委員会はそういう意味では、子供たちや地域のことを見てしっかり方針を検討するというか確認をしていく必要があるのに、どこを見て議論しているのかという強い疑問を私は持たざるを得ないわけです。  この普通科の割合も、従来の県教委の約66%という方針にも反するわけです。こうした県教委の逆行といいますか、私は強く批判をしたいと思います。いかがですか。 117 荻布教育長 公私比率につきましては、本年2月に、令和5年度から令和7年度までの比率について──これは過去の進学、その他への生徒の進学実績に基づいて──、公私双方で協議し合意をしたところでございます。この公私比率を尊重して、令和5年度の募集定員を設定しているものでございます。  県教育委員会では、私立を含めて、全日制高校に入学を希望する全ての生徒に就学する機会を保障する定員設定が望ましいと考えて対応をしております。  また、普通科と職業科、普職比率でございますけれども、中学3年生の進路希望状況調査では、県内の県立高校の全日制課程へ進学希望する生徒のうち、普通系学科を希望する割合というのは近年低下傾向にありましたが、今年5月1日現在の調査では、前年よりも2.2ポイント上昇をしております。  一方、令和5年度の募集定員における普通系学科の割合については、地域別の中学校卒業予定者数の動向ですとか、各高校の入学志願者の推移や学科の設置状況などを勘案して、総合的に判断をした結果63.7%となったところでございます。  この普職比率につきましては、仮に普通科割合を66%程度に維持するためには、職業科を逆に今度減らす必要が出てくるわけでございますが、今、職業科は専門的に学科が分化しておりますので、各学校に置かれているほとんどの職業科が1学級1学科となっておりますので、逆に職業科の割合を減らそうとすると、職業科の学級減というのは、それがその学科の廃止、その学科がその学校からなくなってしまうことに直結するということになることを考慮する必要がありますし、今後もそういったことを踏まえて対応を考えていく必要があると思っております。  ただ、来年度の普職比率、普通科比率については、これまでよりも率が低くなったことも踏まえまして、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会において、普通科、職業科の比率の在り方についてもしっかりと検討していく必要があると考えております。 118 菅沢委員 しっかり検討する必要があるというのは、来年や再来年のことではなくて、今この段階でしっかり議論する必要があるんですよ。公私比率も、県立の受入れが71.6%から70.8%に下がった。なぜなのか。これは、公私連絡会議の中での私立側の経営の論理の説明に押されて県教委が後退したんでしょう。それから、5学級減らすことによって普通科の割合も63.7%になって、県教委がちゃんと方針として掲げている66%を大きく割るんですね。この現実を踏まえた論議が今こそ必要なんです。そういう議論が遅れている。しっかりした説明もお聞きできない。非常に残念です。  知事ね、そういう意味で、私立側の主張に県教委が妥協して県立の枠を下げたり、これは極めて不適切と私は思いますし、さらに、普通科の割合も県教委の方針に反します。いろんな意味で問題が噴出してきているこの公私連絡会議の在り方、これは実は会議も公開されていないんです。どんな協議がなされ、どういう決定過程があるのか公表されていないという問題があります。これも極めて大きな問題です。知事は、この公私連絡会議の在り方も含めてどういう見解をお持ちか。今後開催される総合教育会議において、これはしっかり議論をされる必要があることではないかと思っております。  知事、やっぱり私学の役割はあります。建学の精神を持って子供を募集し、独自の教育方針を持って、その中で生徒の人格、学力、様々な面での成長を図る独特の建学の方針があるわけです。  これを大いに振るっていただくことを私は尊重いたしますが、この公私連絡会議の中では、公表されたものがありますけれども──公表といっても私の手元にありますけれども──、経営の論理の立場というのは非常に強く打ち出されているわけで、そんなことではなくて、県民の大事な子弟である生徒の学習権の保障という観点から大いに議論することが今必要な段階ではないかと思っています。知事の見解をお聞きしたいと思います。 119 新田知事 公私比率につきましては、県立高校及び私立高校の設置者などで構成される、委員の御指摘の公私立高等学校連絡会議におきまして、卒業予定者の中学校卒業者の進路などの実態も踏まえながら、公私双方の合意に基づいて設定をしてきました。  また、公私比率は全日制高校に入学を希望する全ての生徒の就学機会の保障を前提としておりまして、各学校の生徒の収容に係る将来計画の立案、また、私学の定員の確保の点で意義がありますが、時代の変化に合わせまして、見直すべき点がないか、今後よく検討する必要があると考えております。  現在、教育委員会が設置した令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会、それと、知事部局が担当する公私連絡会議におきまして、双方で、私学関係者も交えまして本県の高校教育に関わる様々な議論が行われております。  今後、こうした場での議論も踏まえまして、私が主催する総合教育会議の場において、私学関係者、また県内外の外部有識者の皆さんなどからも意見をお聞きして、公私比率の在り方や県立高校と私立高校の役割などについて議論を深めていきたいと考えております。  議論に際して、私学の経営論の立場からではなく、生徒の学習権の保障の観点からの議論が必要という御指摘がありました。私立高校が建学の精神の下に特色ある教育を実施していく、これはもう大前提でございますが、そのためには経営基盤の安定ということも、やはり私ども担当所轄する役所としては考えます。その上で、県立、私立が協調することによって、生徒たちに多様で質の高い学習機会を提供することができると考えております。  私学振興の観点を考慮しながら、委員から御指摘のあった生徒の学ぶ権利を保障する観点も重視して、公私比率の在り方について今後議論を進めてまいります。 120 菅沢委員 時間の関係で、これで学級編制をめぐる論争から今日に至る経過を踏まえた質問は終わりにします。  私は、この間の問題について、やはり県教委や知事においても反省点があろうかと思います。そういう中から、いろいろ課題がある。検討課題として幾つか論点整理もされて、提起されてきているわけであって、教育委員会は、そういう論議が非常に市町の今度の関係の皆さんの問題意識、課題意識から立ち後れていると。そう申し上げざるを得ません。  公私比率の問題をめぐっては、地域の父兄や子供たちの願いや意識から見ても立ち後れていると。非常にそういう意味では、県教委の課題は大きいなと、責任は大きいなということを痛感します。知事も総合教育会議のことをおっしゃっておられますけれども、そうした問題点をしっかり受け止めて、しっかりと今後の方向というものを打ち出していただきたいと思っています。  教育問題の最後になりますが、幾つか質問があったのですが飛ばさせていただいて、現時点での小中学校、県立学校における教員の欠員状況、これは深刻な問題が生まれています。  私が報告を聞いているのでは、この9月時点で22名の教員の未配置ということが明らかになってまいっております。これらはどうしてこういうことになっているのか、その原因ですね。そして、児童生徒に対する教育上の影響はないのか、職場の働く教職員の皆さんはどういうことになっているのか、影響はどうなのかということについて、私は大変な危惧をいたします。  教育長、その現状と、なぜこういうふうになっているのか、対策について明確にひとつお示しをいただきたいと思います。 121 荻布教育長 今年の4月始業式時点での学校での教員の未配置の状況については、4月時点では中学校1名という状況でした。そして、9月1日の状況は、今ほど御紹介ありましたように計22名でございますが、小学校で11名、中学校で11名ということで、始業式時点よりも増加をしております。  増加の理由としては、病気休業など事前に把握できない不測の事態が生じますと、代員として臨任講師が必要となりますが、他の仕事に就かずに待機している臨任講師の登録者が少なくなっておりますために、年度途中に未配置数が増加する傾向にございます。臨任講師が配置できない場合にあっては、非常勤講師を配置することなどで授業に支障がないように対応しております。  近年は、教員の採用確保のため、正規教員の採用数を増やしておりますことから、欠員補充のための臨任講師数というのは、令和元年度から令和3年度までの2年間で計60名解消しております。また、令和4年度──これは速報値なんですが──までですと、80名解消したというところでございます。  安定した学校運営を行い児童生徒の授業に支障がないようにするためには、未配置を生じさせず、各学校に教員を確実に配置することが重要と考えております。  今後とも、産休などの代員も含めた必要な教員の確保に向けて、市町村教育委員会と連携をいたしますとともに、教員の多忙化解消や働き方改革などもはじめとしまして、教員確保の取組を総合的に進めてまいりたいと考えております。 122 菅沢委員 教育長ね、9月時点で22名の現数とその背景、いろいろ御説明はそれで分かるんですが、さらに今後増えるおそれはないんですか。例年の例から言いますと、令和3年度、前年度は1月段階で49名という報告もあります。随分多かったわけですが、今後はどうですか。 123 荻布教育長 過去全ての月のタイミングで調査した結果がないのですが、今後、可能性としては増える可能性はあると思っております。 124 菅沢委員 私はね、こういう教職員の未配置問題が年々深刻化していくという状況こそ、もう少し力を入れて、どういう背景があるのか、現場の教育活動や子供たちに影響が生じないように全力を尽くすという、そういうことでもっと県教委の信頼を高めていくという、こんなことがちゃんとできていないんじゃないかと。あなた、ちゃんと指導性を発揮して全力投球すべきですよ。教職員の確保の難しさ、代員教員の難しさ、非常勤職員の確保の難しさはよく分かるんですけども、今日のような答弁の程度では終わらない深刻な問題だという受け止めをしてください。  これで教育問題は終わって、もう一つ大事なテーマがあるので前へ進みます。  もう一つのテーマは、旧統一教会、現在の宗教法人の名前は世界平和統一家庭連合というのですけれども、これは知事に幾つか絞って質問することになろうかと思います。  新田知事、あなたは今日までの議会答弁とか、記者会見もそうですけれども、知事選での関連団体の選挙の応援は認めて、そして県の関連団体の行事への後援があったということについても反省するという、今後はしないとかということはあります。これはこれで私はそういう判断を評価します。その中で、今後はコンプライアンス上問題のある団体とはお付き合いしないと、これは繰り返し明言していらっしゃいます。これもそれでそれなりに評価できるわけです。  ただ、知事はその中でさらに付け加えて、政教分離の原則をお挙げになったり、知事の権限は強く影響力も大きいので、説明の際は慎重にさせていただくなどと申されます。そして、関係を断つという言い方になると、その宗教団体への圧迫に当たるとか、そういう御発言。一部の県民を切り捨てるというようなことだとさらに付け加えられて説明をされるわけです。  しかし、私は知事に申し上げたいのですが、今問題になっているのは、旧統一教会のいわゆる霊感商法や強制的な高額献金で甚大な被害が発生している、県民の中にもと言われます。そして反社会的活動が問題であって、政治家、知事も含めて、そうした団体との付き合いは避けるべきということであります。  したがって、現在の旧統一教会の問題は、知事がおっしゃるような政教分離とか知事の権限を守る議論とは私は別問題、関係のない話ではないのかと思って知事の発言を聞いているわけです。  政治家、知事も含めて、反社会的な集団や詐欺集団などと付き合ってはいけないと、私は旧統一教会との付き合いは避けるべきだということをより知事は明確にすべきだと思っています。  知事は、せっかく何回もコンプライアンス上問題のある団体とは関係を持たないと明言されており、これは先ほど申しましたように評価できるわけですから、そうした中で、なぜ知事は、旧統一教会をめぐる今日の論議の中で、政教分離や知事の権限などを取り上げて説明を付け加える必要があるのか。私は一切ないように思います。次元の違うこと、関係のないことを取り上げて今議論する必要はありません。県民の中には──私もそうですが、知事の御発言は歯切れが悪い、煮え切らない、せっかく関係を持たないと発言をなさっているのに、だんだんトーンダウンしているのではないかという見方もかなりあるんですよ。これでは、霊感商法や高額献金、信者2世の生活破壊などが指摘されている宗教法人にお墨つきを与えることになるのではないかという危惧さえ私は広がっているように思います。知事にはぜひ、旧統一教会による被害の実態や反社会的活動にしっかりと目を向けていただいて、県民をしっかり守る立場に立っていただきたい。  ここで知事にお尋ねをしたいのは、なぜ、別次元、関係のない政教分離や知事の権限を持ち出して説明を付け加える必要があるのかということであります。知事の発言は歯切れが悪い、煮え切らない、せっかくの関係を持たない発言がトーンダウンしているのではないかという県民の危惧や懸念にしっかり応えていただきたい。  私は、そのためにも、議会でも我が会派からも要望したわけでありますが、岸田首相なども関係をしっかり断つということを明言していらっしゃるわけで、旧統一教会との断絶をしっかり県民の前に表明すべきであると、いろいろ議会の論議や知事の発言、記者会見等での発言もあるんですけども、今日はこういうことで、改めて知事の見解を求めたいと思います。
    125 新田知事 大変評価していただいたということで、ありがとうございます。  少し復習させていただきますと、私は就任以来、毎週1回の定例記者会見をやっているわけですけども、安倍元総理が凶弾に倒れられたのは7月8日の話でありました。その後の7月20日の定例記者会見でその件について質問が出ましたので、私から令和2年の知事選挙の際に、世界平和連合から連絡があり選挙応援を受けたということを私からお話をさせていただきました。あわせてそのときには、世界平和連合が旧統一教会の関連団体と把握していなかったということ、これは私の大変な不勉強をおわびしましたし、適切ではなかったということも、その7月20日の時点で申し上げたところでございます。  そして8月9日に、このコンプライアンス上の問題のある団体と認識をしており、コンプライアンス上問題のある団体とは今後付き合いはしないということも明言をしたことであります。以来、何度も同じことを繰り返させていただいております。  コンプライアンス上の問題がある団体とその関連団体とは今後関係を持たないということを明確に申し上げているわけでありまして、これは私は決して当該団体にお墨つきを与えているわけではないと信じております。  岸田総理の話をされました。岸田総理の話は、総理大臣としての発言と自由民主党総裁としての発言と、これをやはりしっかりと分けてお聞きになる必要があろうかと思います。総理は、党総裁として率直におわび申し上げると。幹事長に対し、所属国会議員は過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を断つ党の基本方針を徹底するなど、3点指示をしたと。また、政府としても被害者救済に全力で取り組むとおっしゃった。党総裁として、また総理としての発言の違いはしっかりと区別してお聞きになる必要があろうかと思います。  政府としてという意味で、旧統一教会問題関係省庁連絡会議、これは法務省の下に設置をされて、今、早速動いておられます。また、消費者庁の管轄で、霊感商法等の悪質商法への対策検討会もやっております。担当の河野大臣とも先日、電話で話しましたが、全くサンクチュアリなしで──聖域なしで、徹底的に議論し合っているとおっしゃっていました。これについては法務省、また消費者庁が動いておられますので、こちらの今後の動向をしっかりと注目をしてまいりたい思っております。 126 菅沢委員 知事、前段のコンプライアンス問題はそれでいいんです。明言していらっしゃるからそれでいいんですけれども、私は、知事が政教分離に関係したことや、知事の権限を持ち出されて慎重な発言をなさる、そのこととコンプライアンス上の問題と、つまり、旧統一教会が今日、霊感商法や高額献金等々の問題で反社会的な活動をしているという指摘ですね。これは広範にあるわけですが、そのこととは別次元。関係のないことを持ち出して、知事が慎重な態度を取られるということについて疑義を申し上げたんです。そのことについてはお答えがないわけで。なぜ政教分離や知事の権限を持ち出されるのか。それは別次元のこと。  それはそれとして、政治と宗教との関係とか、知事の宗教法人に対する認証の権限とか、そのことはしっかり論議をすればいいわけで、なぜ今そのことを殊さら持ち出して慎重な発言をなさるのか。県民はそのことについて、私も含めて大きな疑義を持っているということをお話ししているわけで、そのことについてお答えがない。なぜなのか。ぜひ明らかにしていただければと思うんですけどね。 127 新田知事 菅沢委員御指摘のように、私は富山県知事です。そして、大変に大きな権限を持っています。まだ2年足らずですが、務めてまいりまして、本当に知事の権限の大きさを認識しているところです。そして、私は県内3,900の宗教法人も管轄しているんです。3,900の宗教法人が私の管轄下にあるんです。その立場で、私は言葉遣いは丁寧に選びたいと思います。  今、我々も政治に関わる者で、県では条例というものもつくります。ある人がかわいそうだね、ある人が大変だね、あるところが廃れているよね、そこのため、それだけのために我々は物事を考えられないです。事の本質を整理して、一般論にして考えなければならないというのが我々の立場だと思いますよ。  ですから、私はコンプライアンス上の問題のある団体とはお付き合いをしませんということを言っているわけです。そのところはぜひ御理解をいただきたい。言葉遣いの違いなんです、菅沢委員。煮え切らないとか及び腰とか、それはどう言われても結構ですけども、私の立場では、この権限の重い立場では、強い言葉で言えと言われても私は言えないということです。それをもって、後ろめたいんじゃないかとかいろいろと言われるのは、これは私、甚だ心外に思っております。 128 菅沢委員 知事、後ろめたいことはないかなんていう言葉は私は一回も使っていません。煮え切らないとか、はっきりしないとか、これは県民の中にある知事発言の印象だと私は思いますよ。知事は私の質問に真正面からお答えになっていないんです。私はですから、コンプライアンス上問題ある団体とは付き合わないということを明確におっしゃるのは評価すると言っている。  それに付け加えて、なぜ今、知事も最後るるお話しなさったような知事の権限なんかを持ち出して慎重な態度を表明なさるのか。それはそれでいいんですけれども、前段の部分と何の関係があるのか。別次元の関係のないことを持ち出して、結局は、旧統一教会との関係について明確な断絶、関係を断つということを明言されない。しようとなさらない。なぜなのかという大きな疑問の中に私はあります。多くの県民もそうではないかと思うのであります。私は残念です。何で知事はそのようなことにこだわりを持たれるのか理解できませんね。知事はなぜそういう問題を持ち出すのかという。  大事なことは、繰り返しになりますけれども、霊感商法であるとか、高額の献金などを通して、信者の皆さんも大変なんです。2世信者のことが大きく報道されてまいっております。こうした反社会的な活動、これはもう既に、さっき岸田首相の政治家か総理か政府かという使い分けでもおっしゃったけれども、政府の動きや様々を見ても、これはもう反社会的な活動の様相を呈しているという見方は大方の一致した見方でしょう。そういう中で、そういう団体とは断絶していく、関係を持たないということを明確にする。そのことの理由のために、なぜ政教の分離や知事の権限を持ち出す必要があるのか。そういう一般論で解消してしまうと、この問題の本質が見えなくなる。知事はこの問題の本質をどう理解して対処なされようとしているのかが問われていると、私はそう思います。いかがですか。 129 新田知事 本当に難しいもんだと思いますね、言葉遣いってね。私はコンプライアンス上の問題ある団体と認識しておりますと。そして、コンプライアンス上問題ある団体とはお付き合いしませんと明言をしています。8月9日以来、何回も何回も。もちろん議会の場でも申し上げました。それでどうして明言していないという理解になるのかちょっと分からないんですよね。 130 菅沢委員 なぜ持ち出すのかという。 131 新田知事 もう少し説明しますと、これは旧統一教会の世俗的な部分で霊感商法とか、高額の献金とか、悪徳商法などがあるんだと理解をしております。ですから、そこにおいてがコンプライアンス上の問題で有罪の判決も出ているということですよね。ですから、コンプライアンス上問題のある団体とはお付き合いをしませんということを、世俗的な部分では明らかにコンプライアンス上違反なので、申し上げているところです。  一方で、宗教としては、これは私は、さっきも言ったように、3,900の宗教団体を管轄する立場です。旧統一教会は、それは全国区なので県の管轄ではありません。ですけども、県内にも3,900という宗教団体がおられるわけです。その方々に対して私は責任を持つ立場でもあるんです。ですから、言葉遣いは慎重に選ばせていただくということです。そこのところ、どうか理解していただきたいと思うんですがね。よろしくお願いします。 132 奥野副委員長 菅沢委員、残り時間が少なくなっております。 133 菅沢委員 世俗のことの議論はいいですよ。世俗のレベルの中で、霊感商法や高額献金等々を通じて、2世の方も含めて大きな苦悩の中にあるという、そこに政治家がいろいろな関係を持つ。選挙のために利用するとか、政策実現のために利用されるとか、いろいろな世俗のことがある。世俗のことのレベルでしっかり考えていただくと。ですから、基本的な認識、旧統一教会に対する反社会的ないろいろな活動の事例等も踏まえて、コンプライアンス上問題があるから付き合いを持たないとおっしゃっておられるなら、そのレベルでもっとしっかりと、世俗のレベルで県民の利益を守るという立場に立って、関係を持たない、断絶するということをおっしゃればいいのに、なぜ、繰り返しになりますけれども、宗教と政治の問題、政教分離の問題や知事の権限を持ち出しになられるのか。そういう意味では、知事はこの問題に関して本質を本当に理解なさっていらっしゃるのか、これが問われると私は思います。繰り返しになったかもしれませんが、疑問は解けません。あまり政教分離とか知事の権限なんていうことはこの問題ではおっしゃらないで、世俗の問題に関係して、信者の皆さんのいろいろな被害の問題をしっかり理解し、県民の利益を守るということを宣言なさればいいんです。なぜそれができないのか。 134 奥野副委員長 新田知事、残り時間がなくなっておりますので、簡潔にお願いします。 135 新田知事 大変に困っておられる、特に、私はNHKの「クローズアップ現代」という番組で、いわゆる宗教2世の話も見て、とても心が痛んだのは事実です。それは共感いたします。ですから、早速、相談窓口をつくりました。そして、その相談にしっかりと対応しているところでございます。  そうですね、なかなか言葉があれですけども、私としては、本当にコンプライアンス上問題のある団体とはもうお付き合いしませんということを明言しているわけでありまして、これをどうして御理解いただけないか。 136 菅沢委員 それは理解して評価しているんだよ。 137 新田知事 そして、反社会という意味では、反社会的というのは一般的な言葉ですが、そういう意味では、コンプライアンス上問題があるということを私は認めています。もし反社会勢力と言っておられるんだとしたら、これは政府見解としては、この反社会的勢力という言葉をあらかじめ限定的かつ統一的に定義することは困難であるというのが政府見解です。ですから、これについて私は、政府見解にここで従いたいと思います。それは困難だということで。反社会的という意味ならば、それはコンプライアンス上問題あるという全く同じ意味ですので、そういう団体とは付き合わないと明言しているわけです。これを御理解いただきたいと思います。  関係ないとおっしゃいますが、私は、3,900の宗教法人を管轄している強い権限ある立場なんです。ですから、断ち切るとか、あるいは、強い言葉で言えと皆さんおっしゃいますが、私はその言葉は使えないということを言っているわけです。それの結果、煮え切らないと言われようが、何でしたっけ、芋じゃないんですからね。それは言葉遣いの問題ですから、そこはどうか御理解いただきたい。 138 菅沢委員 別問題。別次元と言っているんです。 139 奥野副委員長 菅沢委員の質疑は以上で終了しました。  暫時休憩いたします。  再開は15時15分としたいと思います。よろしくお願いいたします。                      午後3時05分休憩                      午後3時15分開議        鹿熊正一委員の質疑及び答弁 140 筱岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  鹿熊委員。あなたの持ち時間は60分であります。 141 鹿熊委員 予算特別委員会のラストを務めさせていただきます。しばらくよろしくお願いいたします。  今日は5人の質問者がいるわけでありますが、先ほど、38歳の2人の県議がおられると紹介がありましたが、実は私はそれに次ぐ年齢でございます、どういうわけか。2人ほど精神性はありませんが、渋さでひとつ1時間、質疑応答をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  まず、県政ビジョンについて質問いたします。  私はそろそろ、新田知事において、新しい総合計画を策定される準備をし、その検討に入られたらいいのではないかなと、そのように思います。  それは、知事の推し進める八つの柱から成る重点政策と成長戦略、そして新たな指標を下に、今後、具体的施策が展開されるであろうウエルビーイングの政策を基軸とした新しい県総合計画の策定に取り組んだらどうでしょうかと、そういうことでございます。  2つの主な理由があります。  1つは、現総合計画、2018年度スタートいたしました元気とやま創造計画でありますが、その柱であります活力、未来、安心、人づくり、この4本柱でありますが、今、私の持つ印象としては相当に、──理念としてはまた当然重要な理念かもしれませんが、施策の柱とか、あるいはまた予算の組立てとかという点においては、ある意味影が薄くなっているという印象を持っております。  現に予算案の説明、これは施策体系にも通じますし、それから知事の2回にわたる、初年度当初予算における提案理由説明においても、現計画の4本柱に沿ったものではなく、当然のこととして、知事の八つの重点政策や成長戦略に沿ったものになっております。  そして2つ目は、それ以上に、この2018年度からの大きな社会変革とも言えるものがあると思います。それは言うまでもなく、コロナを体験した後の、体験していると言ってもいいんでしょうが、コロナを経験した中での、いわゆるDX、そして、今まで以上に、大都市から地方への流れというものが本流になってきていると思っておりますし、ただ、その地方への流れというものをしっかりとここでつかみ取ることができるかどうかというのは、とても大事なことだと思っております。それから、カーボンニュートラル、こういった大きな変革がこの間にあったと。また、その変革の中で物事が進められているというような背景を考えましたときには、新しい総合計画の策定に取り組まれたらどうだろうかと、このように思っております。新田知事の所見を伺います。 142 新田知事 成長戦略は、今のように社会情勢が大きく変動する、スピーディーに変わっていく中で、重点的に取り組むべき新たな課題について、県政運営の中長期的指針──事業立案の基本方針であるこれが総合計画だと理解をしておりますが、これを補完するものとして、この成長戦略を策定しました。  また、富山八策は私が県民の皆様に重点的に取り組むとお約束した8つの政策の柱です。これらはそれぞれ相乗効果を図りながら進めることが大切だと考えています。  ただ、仮にそこに何らかのそごがあると、これは別の問題の話でありまして、正していかなければなりません。このため、まず私どもでは、2018年に策定された総合計画と私が提唱する8つの重点政策、この関係性を整理するとともに、この2月に策定しました富山県成長戦略、これがどう総合計画に影響を与えるのかということをしっかりと整理をしました。  具体的には、総合計画と成長戦略のそれぞれの施策がちゃんと整合するのかどうか、また総合計画の政策の評価指標への影響も調査をしました。その結果、成長戦略と総合計画の施策にそごはありません。  総合計画の指標についても、成長戦略の施策はウエルビーイングの向上を通して、間接的にですが、総合計画の推進を図っていくということですから、この策定により見直すべき影響があるものもありませんでした。ですから、成長戦略は総合計画を補完するものであり、この両方合わせてしっかりと取り組んでいくことにしていきたいと考えています。  今年度は、成長戦略の取組を着実に進める実行の年と考えておりまして、機動的に議論を進めるために、6つの戦略の柱ごとにプロジェクトチームを設置、新設し、PDCAサイクルを回し、アクションプランの検討を進めるとともに、県民調査で戦略の中心であるウエルビーイングの指標設定についても進めております。「ウエルビーイング先進地域、富山」の実現に向けた成長戦略の取組をまずは進めてまいります。  その上で、成長戦略の事業の成果や新たな課題への対応などを検証するとともに、県民のウエルビーイング調査や設定された指標も踏まえて、必要に応じて総合計画の見直しなどについても検討していきたいと考えております。 143 鹿熊委員 現時点においては、双方について照らし合わせた結果、そごはないということでございます。  先ほど申しましたように、この策定時からの大きな社会変革を踏まえたならば、やはり私は、総合計画というものをそのままにして、施策体系とか予算説明はまさに新田ビジョンで行われるというような今の格好は、どうもやっぱりこれは県民に対してなかなか私は分かりにくいのではなかろうかなと思います。  ただ、これから成長戦略を推し進めるに当たって、必要に応じて見直しをする必要があるかどうかも視野に置いて検討していくということでございますので、私はしっかりとした新田県政の一部としての県政運営の指針をつくられたらいいのではないかと、このように思いは変わらず持つものであります。  次に、いわゆる施策と目標との関係ということで2点質問いたしたいと思います。  2020年の3月に策定された第2期とやま未来創生戦略には、地方創生に非常に重要な4つの項目について、2年後の2024年の数値目標が示されております。その4つの項目についての達成可能性について見解を問うものであります。  この4つの項目を簡単に言いますと、1つは、1人当たりの県民所得を、2016年の329万5,000円並みか、それ以上とするというものであります。これは直近のデータから見れば、達成可能性があるだろうと、このように私は思います。  それから、健康寿命を男性73.88歳、女性77.01歳とする点、これも直近のデータから見れば達成できるのではないかなというふうに思います。  ただ、あとの2つ、特に3つ目の合計特殊出生率を2018年の1.52以上とする点、これは、このところの数値から見ると厳しいのではないかなという感じがいたしております。2020年には1.44、そして2021年には1.42に下がっているという現状であります。  それから、一番私が厳しいと思いますのは、若者、女性の社会移動均衡、社会移動を、転出、転入をゼロにして、いわゆる社会増減をゼロにするという目標、2年後においてですね。もう一つは、人口全体の社会増を図ると。要するに、転入、転出の差を転入のほうを多くし社会増を図るという点については、非常に厳しいのではないかと思います。むしろ、基準年であります2019年のいわゆる社会流出1,159人から、2020年、2021年と、その差が広まっておりまして、2021年は2,415人の流出超過であります。これは若者、女性の人口であります。それから人口全体においても、残念ながら、基準年から見ますと、2020年、2021年と転出が増えているという状況の中であります。  そういう中で、第2期とやま未来創生戦略というのは、2021年の5月、また本年2022年の5月に、それぞれ改定されておりますので、見直しがされているわけでありますが、この目標値はそのままになっているということであります。  そこで、この達成可能性について見解を伺います。 144 南里地方創生局長 第2期とやま未来創生戦略では、御紹介いただきました4つの基本目標、少子化対策に向けた環境整備、産業・観光振興や移住促進、多様な人材確保と労働生産性の向上、活力あるまち・未来を担う人づくり、この4つの基本目標の進捗状況を把握するため、御紹介いただいたような、健康寿命や県民所得や合計特殊出生率や社会増減といったようなものの7つの数値目標を設定しております。  これらの数値目標の達成に向けて、令和2年度から第2期戦略に掲げた各種施策を推進しているところでございますが、現時点の各指標の状況は順調に推移しているものもある一方で、委員御指摘のとおり、合計特殊出生率や若者、女性の社会移動の均衡、県全体の人口の社会増といった指標につきましては、戦略策定後に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う出生数ですとか、外国人転入者の減少などもございまして、目標達成が厳しい状況にあると認識しております。  しかしながら、例えば合計特殊出生率につきましては、2006年から2007年については過去最低の1.34であったんですけれども、2015年から2019年、第2期の戦略をつくる直前までは、5年連続で1.5台まで上がっていたということがございまして、また県全体の人口の社会移動についても、直近では2016年から2018年までは3年連続で転入超過であった──これは北陸の中でもうちだけですけれども、そうしたことなどを踏まえますと、これらの指標が今落ち込んでいるものは、コロナ等の影響で一時的なものなのか、あるいは社会変化が起こってしまったのかというのをよく見極める必要があると考えておりまして、この目標達成の可能性について、新型コロナウイルス感染症の影響が収まった段階での状況等も勘案して判断する必要があると考えているところでございます。  ただ、今月末で第2期戦略の計画期間の折り返しとなるところでございます。当面は、残る計画期間においても、各種の施策を総合的かつ状況の変化に応じて柔軟に展開するなど、例えばコロナの影響があるのであれば、コロナ対応の予算も様々打っておりますけれども、こういったことを行いながら、引き続き数値目標の達成に向けて取り組んでまいります。 145 鹿熊委員 数値目標はそのままにして、しっかりと施策を打っていくと、そういうことでございますので、ぜひ──ただ、今の施策の延長ではなかなか私は難しいと思いますので、ある意味、とがった施策を同時多発的に打っていかなければ、なかなか2年後の数値は厳しいと思いますが、頑張っていただきたいと思います。  あわせて、富山県人口ビジョンも、2015年10月にとやま未来創生戦略と併せて設定されたわけであります。2060年の目標値を80万6,000人と設定しております。2020年の第2期の戦略策定時にも、この人口ビジョンの進捗状況を検討した上で、80.6万人の目標を維持するとされました。  そもそも、この人口ビジョンの県政運営における位置づけというものと併せて、このとき維持するとした根拠といいましょうか、理由について説明をいただきたいと思います。  と申しますのも、80.6万人達成の前提は、2030年に県民希望出生率1.90を達成して、それから2020年に若者世代の移動均衡を達成し、以後継続するというものがその前提でありますけども、特に2020年の若者世代の移動均衡という前提はもう既に大きく崩れているわけでありまして、2年前の見直しのときに、しかしなお80.6万人の数値を維持したということでございます。  人口ビジョンの県政運営における位置づけと併せて、この維持をした根拠についてお伺いいたします。 146 南里地方創生局長 富山県人口ビジョンは、本県の人口の現状を分析し、人口減少克服に向けた課題や将来展望を提示するために、2015年10月に策定いたしました。  この人口ビジョンでは、2060年に本県が目指す将来人口を80.6万人に設定した上で、向こう5年間の目標や施策の基本的な方向、具体的な施策をまとめたとやま未来創生戦略を策定いたしました。そして、現在、第2期戦略を推進していると、こういった位置づけになっております。  2020年3月に第2期戦略を策定するに当たりまして、目標値の見直しを検討した際には、若年層の転出超過の継続や、外国人の社会増が一段落したことに伴いまして、2019年の社会動態が4年ぶりに転出超過に変化したほか、県民希望出生率1.9の実現には依然乖離があった。一方で、国立社会保障・人口問題研究所の推計方法により本県の人口を改めて推計したところ、当時の合計特殊出生率の改善傾向等を背景に、2060年の将来人口が前回の推計時から約3.3万人の増加が見込まれたなどということもございまして、2060年の将来人口の目標値80.6万人を維持したところでございます。  御指摘のとおり、目標値は現実味のあることが必要であるとは考えておりますけれども、現在の目標値は、何より県民の希望する出生率を達成するという思い、また、国のほうで策定している人口の長期ビジョンにおける目指すべき出生率、こちらなども勘案して設定したものでございます。  引き続き、第2期戦略の各種施策を推進し、人口減少の抑制に努めるとともに、国のビジョンの改定予定など、国全体の方針や県の人口に関する各種指標の動向にも留意しながら、目標値の妥当性についても検討してまいります。 147 鹿熊委員 現時点においては、その人口ビジョンに沿って各種施策を講じていただきたいと、そのように思います。  それでは、2つ目の質問に入ります。高校教育についてであります。  本定例会、本当に多くの議員の皆さんが高校教育について質疑されました。その中で、ダブる部分もありますけども、質疑を聞いておりまして、こういったところがやはり大事でないのかなと思うことがありましたので取り上げました。  高校の在り方の議論というのは、高校再編整備の議論──そこには統合も含む議論と高校教育改革──いわゆる教育の中身、魅力化、特色化など新たな学びについての議論、これを私は一体的に時間軸を定めて行うべきものと考えます。  本定例会でも、知事から令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会での議論を踏まえて、その後の協議事項について、今日もそうでありましたが、断片的に示されました。  断片的というのは、宮本議員の代表質問に対しては、この検討委員会の議論を踏まえて、できるだけ早く総合教育会議において、有識者の意見も聞きながら、県立高校、私立高校の役割とか公私比率の在り方、普職比率の在り方、学校の在り方等の議論を進めたいと言われました。  次に、永森議員の一般質問に対しては、この議論の上で、来年度以降の検討の場や検討組織の在り方を含め、高校再編について、学校規模や基準などの基本的な方針を慎重かつ丁寧に検討していく必要があると、そのように答弁されました。  ただ私は、今議論されております令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会の議論が始まったときにおいて、恐らくその先の議論、工程表なるものは、教育委員会としては持っておられるのではないかなと思っております。  そもそも生徒数が減少するという中で、高校の再編は避けられないというのが1つあります。それから、高校教育の改革というものも当然必要であります。この2つの現実を前にしたときに、私は県民に、全体像と時間軸、これはすなわち工程表というものだと思いますが、工程表を示して、議会での議論あるいは地域での議論を含めた県民的議論を進めていくべきだと、そのように考えるものであります。  そこで質問でありますが、この高校の在り方の議論というのは、この2つの議論を一体的に時間軸を定めて行うべきと、このように考えますが、知事の見解を問います。 148 新田知事 平成29年度に策定した令和2年度の再編統合の実施方針ですが──3年前ですよね、平成29年から令和2年ですから。令和2年度の再編等について3年前の29年に策定したこの実施方針では、再編統合は、現在の小学校1年生が高校に入学する令和8年度を見通して実施することとし、令和9年度以降の対応については、中学校卒業予定者数の推移等を踏まえ、別途協議するとされています。  中学校の卒業予定数者数が、令和4年3月の8,910人から令和10年3月には、すなわち9年度ということですね、8,000人を割り込むことが見込まれていることから、高校の在り方の議論については喫緊の課題になってきたと考えております。  現在、教育委員会が設置したそのあり方検討委員会では、県立高校の各学科の在り方などについて議論が進められています。来年の春には報告書を取りまとめる予定と聞いています。  次の高校再編に向けての議論は、この検討委員会による協議で県立高校の在り方を定めた上で、再編の必要性、学校規模や基準などの基本的な方針について、来年度以降に新しい検討の場を設け──これは既にお答えしたことですが、令和9年度以降の対応について議論することになります。御指摘のように、高校再編整備の議論と高校教育改革の議論を一体的に時間軸を定めて行うべきだと考えております。  私が主催する総合教育会議においても、長野県の例も参考にしながら、来年度以降の検討の場や検討組織の在り方に加えて、全体像や時間軸が分かりやすいものとなるように検討していきたいと考えます。  今後も、一人一人の生徒にとってどのような高校が望ましいか、これを第一に考えるのは当然のことですが、高校教育の充実には取り組んでまいりたいと考えます。 149 鹿熊委員 長野県の例を挙げられましたけども、長野県は2030年というものを一つのめどにして、議論を非常に丁寧に、10年以上かけて、今現在も進行中であります。2030年というものをやはり議論の当初に設定しておりますね。ですから、様々な懸念とか臆測とかが生じてくるのは、ある意味やむを得ないところがあるかもしれませんけども、その目標年次といいますか、めどを定めて議論をしていくと、全体像を示し工程表の下で議論していくという、それをこれから、今の答弁ではそういったものをしっかり設定してやっていくということでございますので、なるべく早くその設定を私はされたほうがいいと思います。  次の質問でありますが、知事の答弁で、県総合教育会議で、県立高校と私立高校の役割や公私比率の在り方等の議論を進めたいとの答弁が今日もございましたが、私はその際に、特に県立高校と私立高校の役割や公私比率の在り方を議論する場合に、私学の意見をしっかりと反映した公正でバランスのある議論を行うべきだと考えておりますが、これをどのようにして行うのか、知事に方針を伺いたいと思います。 150 新田知事 本県ではこれまで、県立高校は主に広く県内高校生の教育の機会均等あるいは教育水準の維持向上を担ってきたと。私立高校は、建学の精神の下に特色ある教育を実践するとともに、本県の高校教育を支える重要な役割を担ってきたと認識をしております。  こうした中で、少子化に伴いまして、生徒数の急速な減少、また、子供は減るんですが、一方で選択のほうは多様化していると。そして、新たな時代といいますかSociety5.0、デジタルというものが大変に重きをなしてきた。そんな時代の大きな変化に伴いまして、県立、私立を問わず、新たな時代の要請に的確に対応していくことが教育においても喫緊の課題だと考えております。  現在、教育委員会が設置しましたあり方検討委員会では、私立高校の代表も委員として入っていただいておりますし、私立の役割等も含めて議論をいただいています。
     また、県立高校及び私立高校の設置者で構成する公私立高等学校連絡会議──先ほど来、議論になったところですが、ここでは双方の立場を尊重しつつ、公私比率の在り方や相互に学校の魅力を高めるための方策などについて意見交換をしています。特に公私比率については、県内の中学卒業生の学習機会の確保、また、私立高校の定員確保の点で意義がありますが、時代の変化に合わせて見直すべき点がないのか、あるいは私立高校側の意見も十分にお聞きをして、公正でバランスの取れた検討を進めたいと考えております。  私が主催します総合教育会議では、こうした場での議論も踏まえまして、私学関係者や外部の有識者などからも丁寧に意見をお聞きして、県立高校と私立高校の役割、公私比率の在り方などについて議論を深めてまいります。  県としては、こうした議論を通じて、私学を含めた本県の高校教育全体の質や魅力の向上につなげてまいりたいと考えます。 151 鹿熊委員 ぜひその方針で進めていただきたいというふうに思います。  3番目の質問でありますが、令和の魅力と活力ある県立高校のあり方検討委員会、今検討が進行中でありまして、今年度中にその検討結果が出るということでありますが、それを踏まえて、私は速やかにそれを具体化するための協議に入るべきだと考えております。  それはどのようなやり方で、具体化についての検討に入るのかを問うわけであります。公私比率の在り方や普職比率の在り方の議論というのは、私はこの魅力化、具体化の議論の後ではなかろうかなと思います。  それは、やっぱり県立高校の欠員数が年々増えているという現状、これは普通科とか職業科問わず、もちろん定員を満たしているところもありますが、ある学校の普通科、ある学校の職業科においては欠員が生じている、そして全体としてその欠員数は年々増えております。平成30年は全体として県立高校の場合60人であったのが令和3年は145人、令和4年は190人というふうに欠員が増えてきております。それから、私立高校の定員充足率も大体95%ぐらいというところであります。  このような現状を見たときに、公私比率とか普職比率を1%、2%どうこうするという議論、これも大切な議論でありますが、まずは、普通科にしろ、職業科にしろ、どのように改革をして魅力あるものにすべきかというところが私は先でなかろうかなと思います。  普通科を志望する学生が多いというのは、裏返せば職業科の魅力がないということにもなるわけで、むしろやっぱり、全国を見ますと、職業科の改革というものもどんどん行われております。そういったところにもしっかりと配意しながら、まずはやっぱり魅力ある県立高校にしていくという中身の議論が、せっかくこの検討委員会で検討しているわけですから、その先どうするのかというところを問いたいと思います。これも新田知事にお願いいたします。 152 新田知事 今後も中学校の卒業予定者数は減少する中で、社会の変化や生徒、保護者のニーズに対応した高校教育の一層の充実を図っていくことが大切で、また、地域や学科の特色を生かした魅力ある学校づくりを進めることが大切だと考えています。  何度も言いますが、教育委員会で設置しておりますあり方検討委員会において、この観点からの検討を進めて、来年の春頃に報告書がまとまります。最終的に、高校の魅力化、特色化をどう具体化していくかの方向性を示すことになると認識しています。  一方で、県立高校と私立高校の役割や公私比率のこと、また普通科と職業科の割合、学区の在り方等の議論も、これも避けて通れません。ですから、高校の特色化、魅力化や学級編制、高校再編の議論をする、これは前の前の御質問にも関連する、これは一体的に進めていくものだと。どっちが先、後ではないんじゃないかと私は思っております。そのような考えで、私が主催する総合教育会議において、できるだけ早く議論を進めていきたいと考えます。 153 鹿熊委員 いずれにいたしましても、やはり早く工程表を示していただいて、どういうような手順で進めていくのかということを、県民の皆様方あるいは関係者にお示しすることはとても大事だなと思います。  この高校教育の質問の最後でありますが、1つの町あるいは1つの市に1校の高校というものにつきましては、小規模校、それは1学年4学級未満または160人未満のことを指すわけですが、小規模校であっても、県が主体となって関係者と連携して、改革を通した小規模校の特色化、魅力化を図ることによって存続に努めるべきだと、そのように考えるものであります。  御案内のとおり、国は本年度新たに「新時代に対応した高等学校改革推進事業」というものを始めました。本事業を導入した全国の高校を見ますと、小規模校が散見されております。ある意味、小規模校のための国の改革事業とも言えると私は思います。  県はこれらの動き、国の動きなどを真摯に調査し、学び、改革による存続に努力をして、小規模校即統合、閉校というような考え方から私は脱却すべきだろうと思います。これが、前回、すなわち泊高校はじめ4校の再編統合や今回の定数減をめぐる対立によって、当該市や町と県との間に不信感とか摩擦を生んだことから学ぶべき教訓ではなかろうかと、そのように考えるものであります。  この国の「新時代に対応した高等学校改革推進事業」というのは3つありまして、1つは普通科改革支援事業であります。これは本年度19校が全国で採択されておりまして、そのうち小規模校──1学年2クラスないし3クラスの学校が8校採択されております。改革するなら国としてしっかりと支援するからやってみろと、そういう取組であります。  2つ目は、創造的教育方法実践プログラム事業ということでありまして、これも文字どおり、非常に工夫を凝らした教育方法を実践していこうということで、山形県の小国高校など、これも小規模校でありますが、採択をされております。  3つ目は、高校コーディネーター全国プラットフォーム構築事業ということで、いろんな改革に取り組む高校に対して、国から人材を派遣しますよと、そんなことであります。  まさに一町一市一校だから残せと言っているんじゃないんですね。改革をやったがなかなかできなかったというところは、それはやむを得ないかもしれない。しかし、設置主体である県として、国の大きな流れとして小規模校も改革をして残せるものは残していこうという、いろんな新しい手段、教育方法を活用しながら、そういう取組がなされておりますから、やはり私は改革による存続ということに、一町一市一校だからこそ県は努力すべきだと、このように思います。知事の見解を問います。 154 新田知事 先ほど述べましたが、平成28年4月の県立学校整備のあり方等に関する報告書では、例えば、職業科単独校、あるいは地理的な制約がある場合のように、特別な事情がある場合は、例外的に3学級以下であっても配置することが望ましいと本県でもされています。令和2年の高校再編では、小規模校の状況も丁寧に議論した上で、本県の高校教育をより充実させるためという観点から再編が行われたと私は認識をしております。  御指摘の国の「新時代に対応した高等学校改革推進事業」は承知をしております。ここには小規模校も指定されて、地域社会の課題や魅力に着目した学び、あるいは探究活動などによる地域社会の未来を担うリーダーの育成などに取り組んでおられます。  こうした小規模校では、地理的に不利な条件の中で、産業界や時代のニーズを把握した上で地域の特色を生かし、活力と魅力ある高校づくりに努めておられるものと私は理解をしております。  把握できる範囲で、例えば岩手県の高校、愛媛県の高校、長崎県の高校などがありますが、それぞれ特色を持った、あるいはSTEAM教育を取り入れるとか、そんな特色あるいは改革によって存続をしておられるというのがこの国の事業方針だと思っています。  こうした国の動きなどを踏まえますと、高校生の学習意欲を喚起して、可能性や能力を最大限に引き延ばすための各高等学校の特色化、魅力化、そして高校再編をどう進めていくかが今後の大きな課題だと考えています。特に小規模校について特色化、魅力化によって存続させることが、本県において、子供たちの教育環境として果たして適しているのかどうか。また、将来的に持続可能なのかどうかといった点について、あり方検討委員会や、また総合教育会議で有識者の意見もお聞きした上で検討することが必要ではないかと思っております。  先般、委員が今御指摘された山形の学校と同じかどうか分かりませんが、山形の吉村知事と話す機会がありまして、この小規模校のことについて伺いましたら、どうしようもない地域なんだと。どうしようもないというのは、地理的にですね。そこはやっぱり残さざるを得ないねということは吉村知事はおっしゃっておられました。  そんな状況ももっと詳しく調べまして、本県での在り方について、本県の子供たちにとってふさわしい道をしっかりと考えていきたいと考えます。 155 鹿熊委員 私も、もちろんこの小規模校について全国の状況を調べたわけでありませんが、地理的に不利な高校と一括りにはできないと思いますので、よく現状を調査していただきたいと思います。  それから、有識者も交えてということでございますが、有識者というのはなかなか重要でございまして、前回の泊高校の後期再編のときの有識者というのは、ほとんど中規模校・大規模校崇拝者ですね。私はせっかく有識者を交えてというならば、例えば長野県の白馬高校に観光国際科を設置した人とか、あるいはまた島根県の隠岐島前高校に国内留学の仕組みを取り入れた人など、そのような全国でいわば小規模校にしっかりと光を当てて努力している方も入れて有識者を構成していただきたいと、そのようにお願いをしておきます。  それでは、最後の質問、3つ目、フレイル予防活動による健康寿命の延伸について質問いたします。  ちょうど1か月前になりますが、第2次富山県健康増進計画最終評価案が示されました。その中で、成果指標として、健康寿命は男性、女性とも伸びたけれども、平均寿命との差は男性9年、女性12年であるということでありまして、改めて健康寿命延伸の重要性が示されたわけであります。  厚生労働省は、様々な媒体を通して、健康寿命延伸の鍵を握るのはフレイル予防であるとして、フレイル予防の大切さを広報しておりますが、フレイル予防とは何かを含めて、フレイル予防に対する県の認識を質問いたします。 156 有賀厚生部長 フレイルは要介護状態に至る前段階として位置づけられ、身体的脆弱性のみならず、精神・心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱え、要介護状態を招きやすいハイリスクな状態でございます。  このフレイルを予防するためには、栄養、身体活動、社会参加の3つの要素が重要なポイントとなっております。  栄養としては、バランスの取れた食事やたんぱく質の摂取、歯周病の予防などの口腔ケアを行うことにより、筋肉量の維持に必要な栄養の確保につながるというもの。身体活動としては、日常的に身体を動かすことで、筋力の低下予防や転倒、骨折を予防することにより、寝たきりになるリスクが軽減されるというもの。社会参加としては、趣味や就労、ボランティアなどへ積極的に参加することで、身体活動量が増加するとともに、認知機能の低下予防につながり、さらには、身体機能の維持向上にも効果があるというものでございます。  この3つの要素は、お互いに影響し合っているため、これらをうまく自分の生活のサイクルに組み入れていくことが大切でございます。  健康寿命の延伸にはフレイルを予防することが重要であり、県民が健康なうちに、こうした活動に習慣的に取り組める環境とすることが必要であると認識しております。 157 鹿熊委員 重要であると認識をしているということでありますが、現状は、その認識の割には、県の健康づくりの重点は現役世代に置かれていると思っております。  それはそれで大変大切なことでありますけども、やはりアクティブシニアの世代に対してももっと着目すれば健康寿命の延伸につながると思います。  そこで、2番目の質問でありますが、フレイル予防について県民の理解を深めるための普及啓発施策を県に求めたいと思いますが、方針を伺います。 158 有賀厚生部長 県では、フレイル予防を進めるため、高齢者が集う通いの場へリハビリ専門職を派遣し、高齢者に対しフレイル予防に関する普及啓発を行うほか、富山県リハビリテーション専門協議会に協力いただき、市町村職員やリハビリ専門職に対し、フレイル対策を含めた介護予防について理解を深めるための研修を実施しています。  また、食生活改善推進連絡協議会と連携し──食改さんですね──地域住民を対象に、バランスのよい食事の摂取や低栄養予防に関する講習会を開催し、食生活の改善の普及啓発に努めております。  このほか、昨年、コロナ禍における運動機能や認知機能の低下リスクが高まる中、ケーブルテレビで「新型コロナ・フレイルに負けるな!」というタイトルの番組を制作、放映したところでございます。  また、現在、県立図書館において、「フレイル予防~年齢を重ねても元気で暮らすために~」の企画展示を開催し、フレイル関連の書籍やポスターを展示しているところであり、今後とも、県民の皆様がフレイル予防に関心を高め生活改善を促せるよう、様々な機会を捉えて普及啓発に努めてまいります。 159 鹿熊委員 非常に前向きな御答弁でうれしく思いますし、そのことを実践、実行していただきたいと思います。  そこで、朝日町の取組を少し紹介させていただきたいと思っております。3年前の2019年の10月に、私の地元朝日町は、フレイル予防の提唱者であります東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授と連携協定をしまして、フレイル予防事業がスタートいたしました。県内では初の取組であります。  これは、フレイルチェックというものを通して高齢者同士が支え合い、健康なまちづくりを目指すという笹原町長の理念に基づく取組であるわけでありますが、もう一人大きな存在は、当時富山大学総合診療部長でありました山城教授の存在であります。御案内のとおり、山城教授は2020年4月に新型コロナ感染症によるクラスターが発生した富山市内の老健施設に支援チームとして入り、その収束に当たった先生でありますが、その山城先生は朝日町との関係が深く、フレイル予防事業スタート時から今日まで、本当に市民に指導をいただいております。  朝日町はこの締結直後に飯島教授のフレイル予防講習会を開催して、町民の関心を高める機会としました。また、講演を受けて町が公募募集したフレイルサポーター、またフレイルトレーナー養成講座があさひ総合病院で開催されました。このときには、和歌山県とか金沢市からスーパートレーナーやサポーターが来て実施されたわけであります。  翌年の2020年の1月27日には、あさひフレイル予防サポーターの会が結成をされました。本日傍聴に来ておられる皆さん方がそうでございまして、代表の小林さんも来ておられます。緑のウェアは全国のフレイルサポーターの共通ユニフォームということであります。コロナ禍でありますが、コロナ禍の制限の下で普及啓発活動とフレイルチェック活動を行っているというのが現状であります。  この朝日町の取組というのは、リーダーの存在、そして山城先生の存在、また高い意識のあるアクティブシニアの存在があればこそできているわけでありますが、なかなかこれだけそろうのは私は難しい、どこの市町でもというわけにいかないんだろうと思っております。だからこそ、県が積極的に関与してほしい。特にフレイルサポーター、フレイル状態をチェックする方々であります。同時に、フレイル予防について県民に広める活動もしておられる方々でありまして、また、高齢者にとりましては、同じ世代の方がサポーターということであって、非常に親近感が生まれて、いわゆる和気あいあいの中でフレイル予防の意識が高まってきていると、そういうことであります。  フレイル対策というのは、誰かと一緒に取り組むということが継続するコツでありまして、サポーターの役割というのはとても大きいと思います。フレイル予防活動がうまくいくかどうかというのは、フレイルサポーターの存在にかかっていると言っても過言でないと思います。  そこで、県に対する要望といいますか質問でありますが、県内市町村と連携して、このフレイルサポーターの養成に取り組むことを県に求めたいと思いますが、方針を伺います。 160 有賀厚生部長 県では、フレイル対策を含めた介護予防活動の充実を図るため、市町村における高齢者の社会参加活動の促進など、介護予防活動への支援に取り組むとともに、ボランティアや自助グループをはじめとする地域活動の組織の育成等を支援しております。  現在、県内全ての市町村において介護予防事業が行われており、ボランティアなどの人材の育成については、委員の御紹介の本日いらっしゃっていただいておりますが、フレイルサポーターは、朝日町や南砺市で養成されておりまして、立山町や上市町では介護予防サポーターの養成に取り組まれております。  フレイルサポーターは、フレイル予防の3要素、栄養、身体活動、社会参加に関するフレイルチェックのリストを活用して住民を支援しており、この活動を通じて住民自らがフレイルに関心を持ち、介護予防への意識が高まるなど、この取組を継続することで健康寿命の延伸にもつながるものと期待されます。  県としては、こうしたフレイルサポーターの養成をはじめ、効果的な介護予防活動を各市町村に横展開するなどし、高齢者がフレイル状態に陥らないよう、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。 161 鹿熊委員 フレイルサポーターの養成に市町村と連携して取り組むということであります。  ぜひ参考にしていただきたいのは、全国で唯一、全17市町でフレイル予防活動を展開している福井県の例でありまして、ここでは各市町でフレイルサポーター養成講座が開催をされております。昨年6月には、ふくいフレイルサポーターの会というものが発足をしまして、サポーター、それからフレイルトレーナー、行政などの情報発信、あるいは意見交換のプラットフォームができたわけであります。本年6月末でサポーター数は729人ということで、全国群を抜いて多くのサポーターがおられるということでありまして、この福井県の、今言いましたような全ての取組について県が関わっておるということでありますので、しっかりとまた参考にしていただきたいと思います。  そこで、最後の質問でありますが、富山県健康増進計画(第2次)、これは現計画でありますが、その最終評価をこれから経まして、2023年度は新しい計画が策定されると思っております。  フレイル対策というのは、今言いましたように、新しい計画の重要なポイントになってくるのではないかと私は考えます。  現計画にはフレイル対策というものについての記述はないのではないかと思いますので、ぜひこの新しい計画において、フレイル対策というものを重要な柱として盛り込んでいただきたいと思います。知事の見解を求めます。 162 新田知事 フレイルが提唱されたのは平成26年と理解をしておりまして、現行の第2次の健康増進計画が策定されたのはその前年なので、現行計画に記述がないのは御指摘のとおりでございます。  ただ、その策定後、4年後の平成30年に中間評価を行いました。そこでは、もちろんフレイルのことも念頭に、栄養のこと、身体活動、運動のこと、社会参加のこと、これらも中間段階で意識して評価をしております。それによりますと、低栄養傾向の高齢者の割合は15.1%と減少傾向にありますが、一方で、80歳で20本以上の自分の歯を残していらっしゃる方は横ばいで44.9%というデータでした。また、運動習慣者の割合は70歳以上が42.9%と、これはほかの年代よりも多いんですが、1日の歩数が若い世代に比べたら少ないと。さらなる運動の習慣化が望まれると分析しています。また、地域で活動する高齢者の人数は減少傾向にあり、高齢者の社会参加活動への支援が必要とも分析評価しています。それが中間年の平成30年、今からですと4年前の話でございます。  この結果を踏まえまして、高齢者の低栄養を防止するための正しい食生活の普及、また口腔機能維持向上のための8020運動をさらに推し進める。そして、社会参加にもつながる、また介護予防にもつながる運動プログラムの普及、そして、新しいところとしてはeスポーツの体験会、これなども関係団体と、また市町村と連携しながら推進しているところであります。  高齢化が進む中で、フレイル対策は委員御指摘のように大変重要なことだと考えております。来年度は新規計画の策定の年でありますけども、本年実施をする最終評価結果、また国の次期の計画の内容も踏まえて、健康寿命の延伸に向けフレイル対策をしっかりと盛り込むということ、それが全世代でのウエルビーイングの向上にもつながると考えております。また、対策推進サポーターの育成などの環境整備についても併せて検討してまいります。 163 鹿熊委員 ありがとうございました。終わります。 164 筱岡委員長 鹿熊委員の質疑は以上で終了しました。  以上をもって、本委員会の質疑は全て終了いたしました。  委員各位におかれましては、長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局並びに報道関係の各位に対し、深く敬意を表します。  これをもって、令和4年9月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                      午後4時12分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...